仕事を楽しくする秘訣──自分でやると決める

しごとのみらいの蓮井恵一です。

みなさんは、仕事をしている中で、「やらされ感」や「強制感」を抱くことはありませんか? 「これやる意味あるの?」「もっとこうすればいいのに」と思っているのに、上司からは「いいから、やれ」と指示される。そんな状況が続くと、楽しくありませんよね。

■仕事を楽しくするには「自分で決める」こと

仕事を楽しくするためにはどうすれば良いか? それは、「自分で決める」ことを増やしていくことです。やりたい仕事を自分で決める、仕事の進め方も自分で決める状態が望ましいでしょう。

アメリカの心理学者であるエドワード・デシ(Edward L. Deci)とリチャード・ライアン(Richard M. Ryan)が提唱した自己決定理論では、「人が意欲的に行動するためには、自分自身の選択で行動していると心底感じられるかどうかである」としています。

そうは言っても、「上司が分かってくれるわけがない」「仕事は管理されるものでしょ」と思われる方も多いでしょう。会社のルールや上司を変えることは難しいものです。

「やらされ感」を感じるのは、そのことに「納得していない」ことが大きな要因です。納得していないから「我慢」になってしまう。

「我慢」は自分の気持ちや感情を抑えることを強いられるため、仕事が楽しくなくなってしまいます。

■嫌な仕事も「自分がやる理由を自分で決める」こと

では、どうやったら納得がいくのか? それは、嫌な仕事でも、「自分がやる理由を自分で決める」ことです。「お客さんのため」や「将来のキャリアのため」といった、目的が見出せればベストですが、ゲーム感覚でその日の処理件数を目標にするのでもいいでしょう。

ポジティブな理由がない場合は、「誰かがやらなければ進まないよね」「仕事だから」といったややネガティブな理由でも、「だから自分がやる」と決めてみます。「自分でやると決めたこと」に変換できれば納得感が生まれ、楽しいまではいかなくても、やらされ感からは抜け出せます。

そう言う私も仕事に意義や意味を求めるタイプで、割り切れない仕事との向き合い方に苦労してきました。今では嫌な仕事を断れない場合、割り切れない感情は受け入れて「次回はやらなくて良い理由を見つけよう」とか「この負の感情の経験はカウンセリングにいかせるかな」などの理由をつけて自分でやると決めています。

■自己決定は幸福感にもつながる

また、2018年に西村和雄・神戸大学特命教授と八木匡・同志社大学教授が約2万人の日本人を対象にした調査結果では、所得・学歴よりも「自己決定」が幸福感に強い影響を与えているなど、多くの心理学の研究で自己決定と幸福度が比例することが示されています。自分で決定できるという感覚は、仕事を楽しくするだけでなく、幸福感も高めます。

全ての業務に理由づけを行うのは難しいと思いますが、意識的にちょっとした小さな「自分で決める」を積み重ねていくことが、仕事を楽しく、そして幸せに近づく一つの方法と言えるでしょう。

投稿者プロフィール

蓮井恵一
蓮井恵一
1967年生まれのバブル世代 兵庫県西宮市在住。「凹んでいる人を支援・勇気づけることで自分も幸福感を感じる」をモットーに、大阪本社の中堅機械メーカーである株式会社日阪製作所にて、働きがい支援室という部門を立ち上げ、社員のウェルビーイングに取り組んでいる。組織開発や相談窓口などの業務に従事し、ピアボーナスUniposの導入や経営理念再構築・浸透プロジェクトの企画・運営などの活動は一部メディアにも取り上げられている。

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