「人の話を聞く仕事」をしたい人必見!必要な資格とスキルとは?

家庭で、職場で、地域で……私たちはさまざまな問題に囲まれています。また、近年はビジネスパーソンのメンタルヘルスが社会問題にもなっています。

悩みを抱えたときには、「誰かに話を聞いて欲しい」と思うものですよね。今後、「人の話を聞く仕事」が、今以上に求められているのは間違いないでしょう。

そこで、「人の話を聞く仕事」に就きたいと思う方が少なくないようです。

もし、あなたが……

  • 話を聞くのが得意、または、好き
  • まわりの人から、「話を聞いてもらって助かった」と言われた経験が多い
  • 困っているたくさんの人達の話を聞いてあげたい
  • 寄り添って話を聞くことで癒してあげたい
  • 少しでも誰かの役に立ちたい
  • 過去に悩んだ経験、壁を乗り越えた経験がある

のようなお気持ちをお持ちで、「人の話を聞く仕事」をしてみたいとお思いでしたら、この記事をお読みいただくことて、「人の話を聞く仕事のやりがい」「職種」「どうすればなれるのか」「仕事として成り立つか」「専門家としてのあり方」がお分かりいただけるでしょう。

筆者は、2007年からビジネスパーソンを対象にしたコーチングやカウンセリングを行ってきました。それ以前も、2006年からコーチングやコミュニケーション心理学NLPを学び、その効果のほどを職場の中で実践してきました。

「人の話を聞く仕事」のやりがい

「人の話を聞く仕事」は、本当にやりがいのある仕事です。関わった人が問題を自分の力で解決し、目標を達成する。笑顔になり、「ありがとう」という言葉をいただく。その結果、自分もうれしくなれる……。「人の話を聞く仕事」は、関わった人と自分を幸せにしてくれる、本当にすばらしい仕事です。

たとえば、筆者は元々、技術畑のITエンジニアでした。好きなのはプログラムを作ることで、コミュニケーションはあまり好きではありませんでした。しかし、周りには仕事のプレッシャやストレスを抱えている同僚がたくさんいました。それを何とかしたい、せっかく働くなら、みんなに楽しく働いて欲しいと思いました。というより、筆者自身もストレスを抱え、仕事が楽しくないと感じていたのです。

そこで、コーチングやコミュニケーション心理学の勉強をはじめました。自分の関わりを変えていくことで、それまで、厳しい顔つきで働いていた仲間たちが楽しく働くように変わっていくのを肌で感じたとき、とてもうれしい気持ちになったと同時に、今まで苦手だったコミュニケーションの仕事に楽しさを感じるようになり、この仕事をすることを選びました。

どのような関わり方、職種があるのか

「人の話を聞く仕事」は、さまざまな関わり方があります。

「話をきく専門家」として関わるなら、カウンセラー、コーチ、コンサルタントなどが代表的でしょう。

それだけではありません。私たちが関わるあらゆる仕事のベースはコミュニケーションで成り立っています。医師、保健師、介護士、ソーシャルワーカーなどの医療関係者から、保育士、教師などの教育関係者、営業マンやシステムエンジニア、マネジメント層などのビジネスパーソンまで、あらゆる「問題を抱えている人の話を聞き、解決できるように導く人」が、「人の話を聞く仕事」と言っていいでしょう。

どうすればなれるか?

あらゆる人が「人の話を聞く仕事」に関わることができます。そこで、資格、スキルについてまとめます。

資格は必要か?

「人の話を聞く仕事」は総じて、資格は必要ありません。「私はカウンセラーだ」「私はコーチだ」のように名乗れば、誰でも「人の話を聞く仕事」に就くことができます。

もちろん、スキルを体系的に学ぶという意味で、資格があることに越したことはありません。しかし、資格がないからといって罰せられることもありません。

たとえば、もっとも医療現場で認知されている「臨床心理士」も国家資格ではありません。朝日新聞の医療サイト、apita(アピタル)患医ねっとの記事を引用します。

この資格は、文部科学省が認可した財団法人が認定しています。国家資格ではありませんが、いくつかある心理系の資格の中では最も広く医療現場で認知されていると言えます。

出典:医療職種紹介シリーズ16 「臨床心理士」 | apitai 朝日新聞の医療サイト(記事削除)
出典:医療職種紹介シリーズ16 「臨床心理士」 | 患医ねっと

つまり、「臨床心理士」「産業カウンセラー」など、さまざまな資格がありますが、あくまでも、「専門家として第三者から身分を分かりやすくする」ためのものです。

また、「人の話を聞く仕事」では、スキルよりも、社会人としての実務経験や人生経験が、資格以上に役立つ場合もあります。

スキルは必要か?

だからといって、コミュニケーションスキルが必要ないか……というとそうではありません。なぜなら、トレーニングを積まないと、支援すべき人を傷つけてしまったり、逆に、傷つけられてしまったりする恐れがあるからです。

たとえば、傾聴では、「自分の考えを脇に置いて、相手の話に意識を向ける」ことが大切ですが、人は話を聞く際、無意識に、相手をいい/悪いで判断したり、「次に何を話すか」を考えたりしているものです。また、相手の状態もさまざまです。もし、話を聞くことで相手が益々ネガティブになったり、批判的になったり、依存したりされたら、相応の対応力が必要でしょう。

近年、「愚痴聞き屋」というのが流行っているそうです。「愚痴を聞く仕事」で検索すると、「電話で話を聞くだけで稼げる」という情報が非常に多いです。しかし、「話を聴くだけで……」と言うほど、簡単ではないというのが、筆者の経験的にも言えることです。「人の話を聞く」のは、誰でもできるようで、実は、非常に奥が深いです。

もっとも、最初は誰もが初心者ですし、「学び続けよう」という気持ちさえあれば、さほど構えなくてもいいのかもしれません。

必要なスキルと練習法は?

必要なスキル

「人の話を聞く」に必要なスキルは、「観察する」「信頼関係を築く」「話を聞く」「問いかける」「リードする」などがあります。コミュニケーションの基本と構成要素も参考にしてください。

教育機関

スキルを練習するためには、これらのスキルを提供している団体で学んでください。

ちなみに、筆者はコーチ21(現:コーチ・エイ)のコーチトレーニングプログラムとコミュニケーション心理学NLP―神経言語プログラミングのトレーニングを受けました。

なお、医療現場で働きたい場合は、臨床心理士のような資格が必須だと考えますが、臨床心理士は大学を出なければ取得できません。多くの社会人にとって、時間とお金を捻出することはハードルが高いでしょう。そういう意味では、医療のような専門的な分野よりも、より日常的なシーンで活かせる仕事のほうが実現しやすいでしょう。

日常におけるスキルの練習

コミュニケーションスキルは、意識して実践すればするほど、体験すればするほど上手になります。また、失敗もいい経験になりますので、経験することがとにかく大切です。

練習する機会は、職場や家庭など、至るところにあります。練習については、感情的になりやすい人ためのコミュニケーション練習法も参考にしてください。

また、今、働いている環境は、実践する場として非常に貴重です。独立や起業を目指す場合は特に、まずは、今ある環境で経験を積みましょう。

仕事として成り立つか(食っていけるか?)

「人の話を聞く仕事」が仕事として成り立つかどうかは、働く環境によります。

今の環境で活かしたい場合

今の仕事環境で話を聞くスキルを活かす場合は、何も心配いりません。ビジネスシーンは、話を聞く場がごまんとあります。人の話を聞く力は、まわりからも信頼されるようになるでしょう。特にマネジメント層に求められる能力です。

新天地で仕事に活かしたい場合

仕事をやめて、新天地を目指す場合、人の話を聞く力は強みとなるでしょう。たとえば、営業職は「困っている人の問題を自社のサービスで解決する」のが仕事で、カウンセラーそのものです。その可能性は無限大です。

どんな仕事があるのかを知る上で、転職サイトを活用するのもいい方法です。「人の話を聞く」「カウンセラー」等のキーワードで検索すると、直接的、間接的に関わらず、いろんな仕事があることに気づかれるでしょう。

専門家として企業や組織に属したい場合

「人の話を聞く仕事」を専門にし、どこかの企業や組織に就職するのは、ハードルは高いと言えるでしょう。なぜなら、「人の話を聞く仕事」を募集している企業や組織の数が少ないからです。

ハードルを下げるためには、「どんな人」を、「どのようにハッピーにしたいのか」を具体的に考えてみてください。そうすれば、「人の話を聞く仕事」とぼんやりと考えているよりも、未来像や働いているイメージが具体的になり、どのような会社に入ればいいか、どのような職種に就けばいいかが具体的になるでしょう。

起業したい場合

起業する場合は、お客さまと出会う仕組みや、ビジネスとして成立するための仕組みづくりが必要です。話を聞くスキルのほかに、経営やマーケティングなどのスキルも勉強するといいでしょう。

そのためには、すでに起業している方が開催している講座に参加してみるとよいでしょう。コミュニケーションスキルが身につくのはもちろんのこと、同じ目的を持った知り合いができると一人で悩んでいるより心強いですし、講師自身が起業した体験を聞くことで、「何をすればいいか」が分かるでしょう。

まとめ

「人の話を聞く仕事」は、とてもやりがいのある仕事です。そして、困っている人から「ありがとう」という言葉を聞いたとき、「役に立てた」と感じられたときのうれしさと言ったらありません。

一方、スキルのトレーニングや、心のあり方は一朝一夕で身につくわけではありません。一人でも多くの人の役に立てるようにするためにも、トレーニングだけはしっかりと積みたいものです。

なお、「聞き上手度」かが分かる10のチェックリストというのをご用意しました。よかったらチェックしてみてください。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

メールマガジン

MAIL MAGAZINE

メールマガジンをお読みになりませんか?

コミュニケーションやチームづくり、自分との関わり方、これからの働き方など、「楽しくはたらく」ヒントをお送りしています。