数値に変えられない価値がある―コミュニケーション研修の効果測定

 

研修の「効果測定」で悩んでいませんか?

研修を担当されているみなさん、「効果測定」で悩んでいませんか?

知識をつけるような研修なら、最後にテストすれば身につけられたかどうかを測定することができますが、職場改善やコミュニケーション円滑化のような研修は、その効果を数値測定しにくいので、効果を証明するのが難しいですね。

けれども、研修を企画する場合、上司からは「その研修はどんな効果があるんだ?」「効果測定はどうするんだ?」と聞かれることもあるでしょう。

研修には、数値に変えられない価値がある

研修において、数値評価も確かに大切なのかもしれません。けれども、物事には計れるものと計れないものがあります

たとえば、以前、「コーチングの研修をすると、どれだけ売り上げが上がりますか?」と聞かれたことがありますが、筆者はこの質問に答えることができませんでした。逆に、社員の成長を売り上げでしか評価しようとしないことに悲しさを覚えた経験があります。

「効果測定」にばかり目を向けると、数値化できないものを無理に数値化しようとし、つい、売り上げや効率で測定しようとしがちです。ひょっとしたら、「何でも効果測定しなければならない」という社風や文化自体が、ギスギスした職場を作っている発端になっているかもしれません。

職場改善やコミュニケーションの円滑化を考える場合は、数値による効果測定から少し離れて、「社員がどんな風になったらうれしいだろう?」「社員からどんな声が聞こえてきたら楽しいだろう?」……このような、ゴールイメージを明確にすることから始めてみるのがよさそうです。

「比較評価」なら数値化しやすい

それでも、効果測定が必要な場合もあるでしょう。職場環境やコミュニケーションの円滑化を数値化するなら、「研修前と研修後の比較評価」なら数値化しやすいと思います。

たとえば、「理想像を10としたら、現状はどのぐらいのレベルか?研修の後はどのぐらいのレベルに変化したか?」という問いは分かりやすいです。また、理想像を考えることで、職場環境や人間関係のゴールイメージを明確にすることにもつながりますね。

人は数値で動くのではありません。感情で動くのです。職場改善やコミュニケーション研修において大切なのは、「こころを動かす」ことだと思います。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

メールマガジン

MAIL MAGAZINE

メールマガジンをお読みになりませんか?

コミュニケーションやチームづくり、自分との関わり方、これからの働き方など、「楽しくはたらく」ヒントをお送りしています。