具体的思考とは?抽象的思考とは?

ビジネスシーンでは、「考える力が大事だ」とよく言いますよね。考える力とは、つまり、思考力のことです。

「思考力」というと、何か、難しく聞こえるかもしれませんが、「今日のお昼は何にしようかな?」と何気なく考えるように、私たちは何も意識しなくても、毎日、数千、数万回の思考を繰り返しています。

ですから、すべての人に思考力は備わっています。

一方、日常的に思考を繰り返している分、改めて、「考える力」と言われても、何をどうすればいいのか困ってしまうかもしれません。

そこで、この記事では、思考力の2つの種類と、その考え方についてお話したいと思います。これが分かると、バランスのよい思考ができるようになり、今まで気づかなかった新しいアイデアやヒントが分かり、動機付けにつながりやすくなります。

思考力2つの種類

思考力は、大きく分けると2つの種類があります。

  1. 具体的思考
  2. 抽象的思考

それぞれについて解説しましょう。

具体的思考

具体化とは?

具体化とは、物事を具体的に、詳細な事柄に分かることです。イメージは「分解」です。

具体的思考とは?

頭の中で描いているイメージを、具体的に、明確にすることです。

具体的思考をするためには?

具体的思考をするためには、4W1H(When(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、What(何を)、How(どのように))のような、物事を具体的にする問いを使います。

たとえば、「将来、エンジニアになりたい」という夢を持っているなら、「いつまでになる?」「どこで働く?」「何のエンジニアになる?」「具体的には?」「そのためには、どのようなことをすればいい?」のような問いを自分自身に投げかけると、具体的にすることができます。

具体的思考のメリット

具体的思考をすると、次のようなメリットがあります。

  • 頭の中で考えているイメージが明確になる
  • イメージを達成するために何をすればいいかが明確になる
  • イメージが明確になることでそれを叶えたくなる。動機付けになる

抽象的思考

抽象化とは?

抽象化とは、複数の物事の共通点を見つけ、ひとつにまとめることです。

抽象的思考とは?

物事を大きな概念(まとまり)で、広い視点で捉えることです。

抽象的思考をするためには?

抽象的思考をするためには、物事の目的や意味、本当に大切なことを考えてみます。

たとえば、「将来、エンジニアになりたい」という夢を持っているなら、「エンジニアになることで、どうなれるのか?」を考えてみると、「自分が本当にやりたい仕事ができる」のようになるでしょう。さらに、「自分が本当にやりたい仕事ができると、どうなれるか?」を考えてみると、「毎日充実した気持ちで働ける」となり、さらに、「毎日充実した気持ちで働けると、どうなれるのか?」を考えると、「毎日が楽しい。幸せ」のような答えになるでしょう。

このように考えると、エンジニアになりたいという気持ちの背景には、「毎日が楽しく、幸せな気持ちで働く」という「本当の目的」があることが分かります。言い換えれば、エンジニアは、幸せな気持ちで働くための手段ということです。

「毎日が楽しく、幸せな気持ちで働く」は、「エンジニアになる」に比べると、その概念は大きく、抽象的です。これが、抽象的思考です。

抽象的思考のメリット

  • 一つ上の、大きな視点で捉えることで、物事の本質(本当に大切なこと)が見えてくる
  • 「なぜ、それをするのか(物事の本当の目的や意味)」が明確になり、動機付けになる
  • 本当の目的と手段の区別ができ、目的を叶えるための選択肢が広がる
  • アイデンティティ(存在意義)や軸がはっきりする。その結果、ぶれなくなる。

具体的思考と抽象的思考の関係性

具体的思考と抽象的思考は、物事の捉え方に逆の関係性があります。

以下に示すのは、コミュニケーション心理学NLPの第一人者、ロバート・ディルツ氏が考案したニューロロジカル・レベルという人の意識モデルです。人は、「私はこういう人だ」という自己認識を元に、「なぜ、それをするのか」という信念・価値観を抱き、それを、実現するための能力を身に着け、そのために行動し、ある環境に身を置きます。

具体的思考と抽象的思考をニューロロジカル・レベルに当てはめると、さまざまな意識レベルに沿った、バランスのよい思考をすることができる……ということが言えます。

まとめ

具体的思考と抽象的思考をざっくりとまとめてみました。いかがでしたか。

私たちは毎日たくさんの思考を繰り返しています。その反面、物事に対して意識的に考えることはあまり多くありません。

具体的思考することによって物事が明確になり、抽象的思考によって本当に大切なことが見えてきます。物事をバランスよく、普段考えないことを考えることによって、それまで見えていなかったものが見え、新しいアイデアやヒントがあることに気づくようになるのです。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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