1on1ミーティングとは?――コミュニケーションを良好にし生産性を上げる法

1on1ミーティング

こんにちは。しごとのみらいの竹内義晴です。

ビジネスシーンで1on1ミーティングがにわかに注目を集めています。1on1ミーティングを一言で言えば、「リーダーとメンバーが1対1で行うミーティング」のことです。

私自身、2006年~2007年ごろから1on1ミーティングを実践し、効果を感じてきました。また、現在はプロとして、ビジネスパーソンのコーチングやカウンセリングに従事しています。

この記事では、「1on1ミーティングとは何か」を深掘りし、コーチングやカウンセリングとの違い、職場における効果やメリット、簡単なやり方、注意すべき点について紹介します。

1on1ミーティングとは何か?

すでに触れたように、1on1ミーティングとは、「リーダーとメンバーが1対1で行うミーティング」のことです。メンバーは、普段仕事で困っていることや悩んでいること、今後チャレンジしてみたいことなどをざっくばらんに話します。リーダーはメンバーの話に耳を傾けます。

類似したものに、コーチングやカウンセリング、面談、ティーチングなどがあります。これらはには、「メンバーの成長を支援する」「メンバーの悩みを解決する」「メンバーを評価する」「メンバーを指導する」などの明確な目的があります。

一方、1on1ミーティングは、これらのような明確な目的を持たなくてもよく、プライベートの困りごとなど、場合によっては雑談的な要素を含んでいても問題ありません(もちろん、メンバーの成長を支援したり、悩みを解決する場として使ったりすることもできます)。

1対1で定期的に話すことによって、リーダーとメンバーとの間にあるコミュニケーションギャップをなくし、仕事をやりやすくするために「ざっくばらんに話をする場」だと考えるといいでしょう。

1on1ミーティングの位置づけ

ここで、1on1ミーティングと、類似した他のものとの位置づけを見てみます。まず、「対象者の状態」と「実践の難しさ」で見てみました。

1on1ミーティングの位置づけ 対象者の状態と実践の難しさ

1on1ミーティングは、ティーチングやコーチング、カウンセリングの中間的な位置づけです。

コーチングでは「気づきを促す」、カウンセリングでは「とにかく耳を傾ける」「アドバイスはしない」など、さまざまなやり方がありますが、それを実践するためには専門的なスキルが必要で、習得するためには相応の難しさがあります。

一方、1on1ミーティングでは、「〇〇してはいけない」といったことはそれほどなく、比較的自由に関わることができます。

次に、「主体」と「心理的安全性」で見てみました。

1on1ミーティングの位置づけ 主体と心理的安全性

1on1ミーティングに類似したものに、四半期等のタイミングで行われる「面接」や「面談」がありますが、面談や面接は評価が伴うもので、その主体は、リーダーにあります。

ティーチング(指導)も、どちらかといえば主体はリーダーです。

また、「ちょっと一服」とタバコを吸いながら雑談する「タバコ部屋」は、その雰囲気は1on1ミーティングに近いかもしれません。しかし、タバコ部屋は「単なる雑談」であることも多いため、業務で行うものとは、少し違う印象です。

カウンセリングとコーチングの主体は、相手にあります。しかし、スキルが難しいと、つい、自分の方に意識が向いてしまいがちです。

1on1ミーティングの主体は、リーダーではなくメンバーにあります。役職が違う上司やリーダーに対して、メンバーが本音を言うことはなかなか難しいものです。けれども、そういったコミュニケーションのギャップをできるだけなくし、何でも話せる場であることが、1on1ミーティングにとってとても重要なのです。

1on1ミーティングと心理的安全性

1on1ミーティングで最も大切なことの一つに「心理的安全性」があります。心理的安全性は、Googleが社員の生産性を高める方法を研究した「プロジェクト・アリストテレス」から注目を集めています。

現代ビジネスのグーグルが突きとめた!社員の「生産性」を高める唯一の方法はこうだによれば、生産性の高いチームで大切なこととして心理的安全性を上げています。

「こんなことを言ったらチームメイトから馬鹿にされないだろうか」、あるいは「リーダーから叱られないだろうか」といった不安を、チームのメンバーから払拭する。心理学の専門用語では「心理的安全性(psychological safety)」と呼ばれる安らかな雰囲気をチーム内に育めるかどうかが、成功の鍵なのだという。

出典: グーグルが突きとめた!社員の「生産性」を高める唯一の方法はこうだ | 現代ビジネス

1on1ミーティング成功のカギは、「いかに心理的安全性を担保できるか」とも、言えるでしょう。

1on1ミーティングの簡単なやり方

1on1ミーティングは、1週間~1か月ほどの周期で、定期的に行います。1回の時間は30分ほどです。時間は間延びしないよう、30分で切り上げます。

主体は、リーダーのためではなく、メンバーのためにあります。そこで、リーダーは自分の意見を言ったり、アドバイスをしたりする前に、基本的にはメンバーの話をさえぎらず、傾聴する姿勢で臨みます。

難しい方法論はそれほど意識しなくてもよく、メンバーが「ざっくばらんに話せる」ことを大切にします。メンバーが抱える悩みや問題を解決するために、アドバイスが必要な場合は、メンバーの話をある程度聞いた後にアドバイスするといいでしょう。

傾聴力や質問力を身につけることにより、さらに効果的にすることもできます。

次回のミーティングでは、前回からの振り返り等も行いながら、1on1ミーティングを行うこともできます。しかしながら、いわゆる「PDCAサイクルを回す」といったことを意識しすぎるよりも、「そのとき、話したいことを話せる場をつくる」ことのほうが重要です。

1on1ミーティングの職場における効果やメリット

ここで、1on1ミーティングの職場における効果やメリットを挙げてみました。なお、ここに挙げたことは、いわゆるセオリーというよりは、私がリーダーの時に職場で実践し、感じたことを挙げました。

メンバーの状況を把握できた

定期的に話すことで、メンバーが置かれた仕事面、感情面での状況を把握できました。ときには、プライベートの相談も受けましたが、「そういう背景があるから、このような状況なのだな」ということが理解できました。

問題が大きくなる前にピックアップできた

定期的に話すことによって、悩みや問題が小さなうちにピックアップでき、問題が大きくなる前に対応できました。

ストレスを抱えるメンバーが減った

ざっくばらんに、何でも話せることを意識することによって、メンタル的にストレスを抱えていたメンバーが減りました。また、かつて投薬を受けていたメンバーも回復し、前向きに仕事をするようになりました。

メンバーとの関係が世代を超えてよくなった

私のチームには、年下のメンバーのほかに、年上のメンバーもいました。1on1ミーティングを行う前は、年上のメンバーとは会話をすることが少なく、何を考えているのかよく分からない時期もありました。けれども、「定期的に話す」ときめて1on1ミーティングにのぞんだ結果、コミュニケーションが円滑になり、メンバーとの関係が世代を超えてよくなりました。

メンバーが自発的になった

安全、安心な場ができたからか、メンバーが自発的になりました。終業後や休日に、スキルアップのための勉強会を自主的に開くメンバーが出てきたときはうれしかったです。

メンバーの成長を支援できた

コーチングのスキルを身につけて、メンバーと関わるようにした結果、メンバーが自発的、自立的になり、成長を支援することができました。

リーダー一人で抱えずに済むようになった

これは、1on1ミーティングの直接的な効果ではないかもしれませんが、職場のコミュニケーションが良くなり、心理的安全性が増して、自発的に行動してくれるメンバーが増えることによって、リーダーが一人で抱えることが少なくなりました。

それまでは、すべてを一人で背負い、リーダーの役割に負荷に感じていましたが、「リーダーが一人で抱えなくていいんだ」と思えるようになってから、リーダーの仕事が楽しくなり、メンバーを支援することに喜びを感じるようになりました。チームワークがよくなったため、チームとしての生産性も上がり、顧客からも評価されるようになりました。

1on1ミーティングの意識すべき点

1on1ミーティングは、気軽に初めていいと思っています。ですから、最初のうちはとくに、あまり難しいことを意識しなくてもいいような気もします。

一方で、もし、意識すべき点があるとしたら、繰り返しになりますが、「1on1ミーティングはメンバーのためにある」ことを意識して、関わることかなと思っています。

と言いますのも、頭の中では「メンバーのため」と思いながらも、今までの習慣で、つい、面談チックになってしまったり、「それは、そうではなくて、こっちのほうがいいんじゃないか」と、つい、相手の言動を批判してしまったり、よかれと思ってアドバイスをしてしまったりしがちです。

けれども、1on1ミーティングで最も重要なのは、「安全、安心な場で」「ざっくばらんになんでも話せること」です。まずは、「定期的に30分、ざっくばらんに話す」場を作ることが大切なのではないかと思います。

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著者

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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