アウトカムとは―一般論と心理学から見た意味の違い

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近年、公的機関や医療業界では「アウトカム」という言葉がよく使われているようです。

アウトカムは日本語で「成果」や「結果」と訳されていますが、具体的にはどのような意味があるのでしょうか。

コミュニケーション心理学NLPでもアウトカムという言葉をよく用い、とても大切にしています。というより、アウトカムがなければ何も始まらない……といってもいいかもしれません。

しかし、一般的に用いられる解釈とNLPでの解釈は、基本的には同じにもかかわらず、その印象はやや異なるように感じています。NLPで用いる意味を知り、生かすことによって、他業界でのアウトカムが、より生きたものになるでしょう。

そこで、一般的な解釈とNLPでの解釈を比較しながら、「アウトカムとは何か」について考察しましょう。

アウトカムとは

一般的な解釈

アウトカムとは一般的に、どのような意味で用いられているのでしょうか。辞書やインターネット上での意味を調べてみました。

成果。結果。「政策の―が厳しく問われる」

アウト‐カム【out come】 | goo辞書

成果という意味の英語で、研究がもたらす本質的な成果のことを指す。論文や特許の数といった外形的なものではなく、実際に社会にどんな影響を与えたかを評価すべきだという考えから、注目されるようになった。産業技術総合研究所や厚生労働省などが、評価のポイントをアウトカムに置く方式を2005年から始めた。

(高橋真理子 朝日新聞記者 / 2007年)

アウトカム(あうとかむ)とは | コトバンク

アウトカム(あうとかむ)とは、結果、成果という意味である。検査値の改善度や合併症の発生率、回復率や死亡率など、治療や予防による臨床上の成果を指す。

転じて、クリティカルパス(クリニカルパス)のなかで設定される目標もアウトカムと呼ぶ。治療・看護の各プロセスのなかで患者が達成すべき指標である。

アウトカム | 看護用語辞典 ナースpedia - 看護Roo - クイック

これらの解説に見るように、アウトカムとは「成果」「結果」、加えて、「評価指標」や「目標」という意味があることが分かります。

NLPでの解釈

NLPにおけるアウトカムの解釈も「成果」「結果」「目標」で、基本的には同じです。加えて、「望ましい姿」「ゴール」「“こうなったらいいな”という状態」のように表現されることもあります。

一般的な解釈とNLPの解釈のニュアンスの違い

一般的な解釈とNLPの解釈の基本的な意味合いは同じですが、そのニュアンスには若干の違いがあります。ポイントは2つです。

ポジティブさの印象の違い

1つは、「ポジティブさの印象の違い」です。

先のコトバンクや看護用語辞典の説明にあるように、一般的なアウトカムとは、どちらかと言えば「○○すべき」「○○しなければならない」「何が何でも」のような、やや強制的な印象があります。それは、日本語の「目標」という言葉が影響しているのかもしれません。日本語の「目標」には、「できていないことをできるようにする」ような印象があるからです。

一方、NLPのアウトカムとは、「望ましい未来」であり、その印象は「○○したい」「○○したくなる」のような、とてもポジティブなものです。mustとwantの違いといったら分かりやすいかもしれません。

立っている視点の違い

1つは、「立っている視点の違い」です。

一般的なアウトカムとは、「現在から未来を見る」印象があります。遠くに目標があり、そこに向かっているイメージです。

一方、NLPのアウトカムとは、「すでにそうなっている未来を描く」ことを大切にしています。「もし、望ましい未来が叶っていたら、それはどんなシーンか、そこでは何が聞こえていて、どんな気持ちを抱いているか」を想像し、五感を通じて疑似体験します。そして、未来から現在に向かって、「この状態を実現するためには何が必要か」を考えるのです。つまり、視点は「未来から現在を見る」印象です。そういう意味では、NLPの解釈は、「リアルに想像した“望ましい未来”」といえるでしょう。

一般とNLPの解釈の「いいとこどり」をする

どちらがいい、悪いというものではありませんが、両方の利点を生かすことで、より、行動的になれるのではないかと思います。

「○○ねばならない」という厳しさを持ち、現在から未来を見る一般的な解釈を生かすと、「これを絶対に達成しよう!」という外的な動機づけになるでしょう。

「○○したい」「こうなったらすばらしいよね」というポジティブな未来がすでに叶っているNLPの解釈を生かすと、ワクワク感や楽しさが生まれ、「これを達成したい!」という内的な動機づけになるでしょう。

まとめ

アウトカムとは何かについて、一般的な意味とNLPの意味の違いから考察してみました。

どんな計画も、「望ましい未来」「すばらしい未来」のためにあるのだと思います。もちろん、そこには厳しさも必要かもしれません。けれども、真の行動は、「これをぜひ実現したい!」というポジティブな気持ちから生まれるはずです。

そんな気持ちが生まれるアウトカムを作っていきたいものですね。

なお、アウトカムの設定の仕方については、仕事の成果を左右する目標の立て方5つの条件にまとめています。こちらもあわせてご覧ください。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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