「考える」が楽しくなる!チャート式論理的思考トレーニング

あなたは論理的思考が得意ですか?

論理的思考ができると、物事を広い視野で、多面的に、客観的に捉えられるようになります。また、物事を論理的にわかりやすく伝えることができます。その結果、自分の考えや提案、サービス内容をわかりやすく伝えることができるようになるため、同僚や顧客から信頼されるようになります。

一方、論理的思考が苦手な方も多いようです。物事を多面的に捉えることができず、「何を言いたいのかわからない」「話がわかりにくい」「順序だてて説明して欲しい」などと指摘されたことはありませんか。とても悲しい気持ちになりますよね。

論理的思考は、基本さえわかってしまえばとても簡単です。また、日常的にトレーニングすれば、誰でも身につけることができます。

そこで、論理的思考を可視化し、トレーニングする方法をお伝えしましょう。トレーニングといっても難しく考えないでください。チャートを描きながら楽しく考えるだけで、論理的思考力が自然に身につきます。

なお、論理的思考とは何か?については、社会人に必須の能力「論理的思考」3つの種類に。また、論理的に話す能力を鍛えたい場合は、簡単!わかりやすく伝える論理的な話し方2つにまとめておりますので、こちらも合わせてご覧ください。

可視化すると論理的思考が楽になる理由

このトレーニングは、論理的思考を可視化しながら進めます。なぜなら、「考える」を頭の中だけで行うのはとても難しいからです。

たとえば、人がその瞬間、瞬間で考えられることはたった1つです。頭の中だけで考えると、それまで考えたことや筋道を、頭の中に抱え込んでいなければならず、頭の中は重くなり、「考える」に集中できなくなります。

そこで、考えたことをチャートにまとめ、思考を「頭の外」に出すことで、頭を軽くし、考えることが楽に、楽しくなる方法をご紹介します。チャートを描くと筋道を立てて考えやすくなるほか、あとで全体を眺めれば、「思考の全体像」が見えるようになります。

論理的思考の基本は「つなげて、考える」

物事を何の筋道もなく、直感を頼りにゼロから考えるのはとても難しいですが、論理的思考は直感ではなく、「今あるもの」から、「つなげて、考える」ので、ゼロから答えを生み出すのよりも考えやすいです。

そこで、「考えたいこと」から線をつなげて、丸を描くことからはじめましょう。

思考の方向性を分けると考えやすい

闇雲に考えても、頭の中はなかなか整理できませんが、「思考の方向性」を意識しながら考えると、論理的思考がやりやすくなります。

社会人に必須の能力「論理的思考」3つの種類にもあるように、思考には「まとめる」「分解する」「横にずらず」の3つの方向性があります(言い方を変えると、3つの方向性しかありません)。また、「横にずらす」は思考の幅を拡げるためにあるので、3つの思考をさらに単純にすると「まとめる」と「分解する」の2種類にできます。

そこで、思考の方向性を分けて、論理的思考をしてみましょう。

まとめる(抽象化)

「まとめる」とは、「いくつかの物事の共通点を一つにまとめ、物事の本質(本当に大切なこと)を見出すことです。

「まとめる」で最も便利なのは、「それによって、どうなる?」という問いです。筋道を立てて、物事の本質を考えることができます。一つの物事を組み立てたら、その先がないかを繰り返し考えます。

「それによって、どうなる?」と繰り返し考えると、「その先」「さらにその先」を自然な形で考えることができます。突き詰めて考えると、最後は「信頼」「存在」「愛」「楽しさ」「あるがまま」「幸せ」など、比較的大きなキーワードでまとまり、「本当に大切なこと」を見出すことができます。

分解する(具体化)

「分解する」とは、「一つの物事を細かく具体的にし、物事のイメージをわかりやすくすること」です。

「分解する」で最も便利なのは、「いつ」「どこで」「誰と」「何を」「どのように」の、4W1Hの問いです。また、「例えば?」「具体的には?」「どんなシーンで?」「何が聞こえて?」「どんな感じ?」などでもいいでしょう。

一つの物事を分解したら、分解した要素をさらに細かく出来ないかを考えます。そして、山の裾野が広がるように具体的にします。このように細かく分解することによって、「それがどのようなことなのか」が具体的になります。

一枚のチャートで「まとめる」「分解する」を考える

このように、思考の方向性を分けて考えると論理的思考がしやすくなります。また、一枚のチャートで「まとめる」と「分解する」の両方向の論理的思考をすると、あなたの中にある「思考の全体像」が見え、多面的に考えることができます。

論理的思考の日常のトレーニング法

論理的思考のトレーニング法としては、日頃の仕事の中で、論理的思考を取り入れてみることです。

たとえば、上司に仕事の報告をする場合なら、現在の状況は「分解する」を使えば、具体的にできますし、「まとめる」を使って、「それによって、どうなる」を考え、「現在の状況は○○です。この状況ですと、来週は□□になりそうです」のように未来を予測して報告すれば、上司からも信頼されるでしょう。

また、顧客に商品やサービスを提案する場合なら、「分解する」を使って商品やサービスの優れた特徴を具体的に考え、説明するとともに、さらに、「まとめる」を使って「それによって、どうなる?」を考え、「あなたはこの商品やサービスを使うとこうなれるんですよ」のように、顧客の未来像を提案することによって、商品やサービスによって、顧客が得られる価値をわかりやすく伝えることができるでしょう。

思考は習慣でクセにできます。慣れてくると、チャートに書き出さなくても論理的思考が自然とできるようになります。

まとめ

論理的思考を可視化する方法についてまとめました。

頭の中だけで考えるのは大変ですが、チャートを使って可視化すると、思考が見えるようになるので、頭の中を整理しやすく、まとめやすくなります。

また、「考える」と思うと難しく感じ、思考が進まないことはよくあることですが、チャートを使えば、まるで絵を描くような感覚で論理的思考ができるので、考えるのがとても楽しくなります。

「読んだだけ」では終わらせずに、ぜひ、紙とペンを用意して、論理的思考を習慣づけてみてください。あなたの「考える」が、より豊かで、楽しくなりますように。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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