なぜ自発的に動くことが大切なのか、どうしたら自発的になれるのか

筆者は以前、ブログに自発的な職場にならない7つの理由という記事を書いたことがあります。7つの理由とは、次のような内容でした。

  1. どうすれば「自発的」になれるのか分からない
  2. 「気づこう」と思っても気づけない
  3. 自分だけでなく、まわりの人に自発的に行動して欲しくても、その方法が分からない
  4. 今まで、指示・命令ばかりされてきた
  5. 自発的に行動するメリットがない
  6. 自分から動くと、仕事を押し付けられる
  7. 自発的に行動して褒められたことがない

記事をご覧いただいた方より、「なぜ自主的に動くことが大切なのか、どうしたら自主的になれるのか」というコメントを受けました。

そこで、なぜ自発性が大切なのか、どうしたら自発的になれるのかを考えてみました。

なぜ自発的に動くことが大切なのか

ブログ記事は2010年に書いたものですが、当時だったら、「目的意識を持ったほうが内的な動機付けが起こる(モチベーションがあがる)から」、「自発的な人が多いと仕事がスムーズに進むから」、「気づく人が増えて、仕事の課題が改善できるから」、「指示・命令されずに済むから」、「褒められるから」などのような、さまざま理由を挙げるのではないかと思います。

今なら、シンプルに、「自発的に動いたほうが楽しいから」と答えます。なぜなら、仕事や生活・人生を、自分の意志で思い通りにできるからです。

「自発的」とは、「自分が”いい”と思ったり、"こういうのは大事だな"と感じたりしたことを、自ら進んで行うこと」ですね。「おいしいレストランが近くにあることを知った。ぜひ、食べに行きたいと思った。そして、実際に行ってみたら、本当においしくてうれしくなった」……単純に楽しいです。

自発的の反対は「強制的」です。つまり、「他の人が"いい"と思ったり、"こうすべき"と感じたりしたことを、相手の意志に従うこと」です。選択権や決定権は相手にあり、自分にはありません。

不平や不満を言うだけで、あとは相手にゆだねる状況は、行動の選択権や決定権が相手にあるので、ずっとその環境に居続けなければなりません。それよりも、自分の意志で動いたほうが、楽しい環境を早く作れると筆者は考えています。せっかく同じ時間を過ごすなら楽しいほうがいい。

どうしたら自発的になれるのか

では、どうしたら自発的になれるのでしょうか。そのために、まずは「どんな時に楽しいと感じるのか」を、振り返ってみるのがいいのではないかと思います。なぜなら、自発性とは理屈ではなく、欲求だからです。

たとえば、「○○レストランがかなりおいしい」という情報をインターネットで知ったとしましょう。そこで、友人とそのレストランに行きました。けれども、レストランはとても混雑していて、どうやら1時間待ちのようです。悩んだ末、1時間待つことにしました。

待つのは、誰に言われたものでもありません。自発的です。ここにあるのは、「おいしいものが食べたい!」という欲求だけです。つまり、自発性とは「○○したい」という欲求が生み出すのです。目的意識や目標ではありません。

「こういうときって好きだな」「楽しいな」「うれしいな」と感じるような物事の中には、自分でも気が付いていない「自発的な行動の種」が眠っています。「どんな時に楽しいと感じるのか」を、探してみてください。

仕事に対するメンタリティ(前提)を変える

では、仕事の自発性はどうでしょうか。こんな疑問が浮かぶかもしれません。「では、どうしたら仕事を楽しめるのか」「どうしたら仕事が楽しいと感じられるようになるのか」と。「そもそも仕事が楽しくないんだ」「できるものなら、自分だって楽しく仕事がしたい。けれども、それができないから困っているんじゃないか」と。

仕事の中の自発性を育てるためには、どうしたらいいのでしょうか?

私の意見では、まず「仕事に対するメンタリティ(前提)から変えてみるのはどうか」と思っています。

一般的な仕事に対する価値観は、「仕事とは、つらいものだ」「仕事とは、お金のために働くものだ」「仕事とは、つまらないものだ」……このようなものだと思います。仕事にたいしてこのような前提を持っていると、仕事は永遠に楽しくはなりません。 なぜなら、そのようなメンタリティ(仕事に対する無意識の前提)が、「仕事=楽しくないもの」と私たちに思わせるからです。

そして、ちょっと上司から怒られたりすると、ちょっといやなことがあったりすると、「ほ~ら、やっぱり自分が思っていたとおり、仕事なんて楽しくないじゃん」と思います。そうして、仕事に対する価値観を「仕事=楽しくないもの」と強化していくのです。

ここで、「仕事=楽しいもの」というメンタリティに変えてみます。だからといって、無理に思い込んだりするのは逆効果です。ポジティブシンキングなんてしなくていいです。

「仕事は楽しくてもいいんだ」「ひょっとしたら、仕事って楽しいのかも」……このぐらいの、仕事を楽しむ許可を自分に出すぐらいがちょうどいい

そうすれば、多少時間はかかるかもしれませんが、「もっと自発的になろう」なんて無理に思わなくても、体が自然に動き出し、いずれ、意識して「自発的になる」のではなく、意識しなくても「自発的になっている」という状態になれます。

仕事を楽しくするための習慣

もし、「自分も仕事を楽しくしたい」と思われましたら、仕事を楽しんでいる方の情報に触れるとよいと思います。「この人は仕事を楽しそうにしているな」と思う方のブログや本などを読んでみてください。そのような情報に積極的に触れることで、メンタリティは自然と変わっていきます。

なぜなら、私たちの体が今まで食べたものと飲んだものでできているように、私たちのメンタリティは、今まで触れてきた情報によって作られているからです。

仕事は楽しくてもいいんです。楽しい仕事があってもいいんです。楽しく働いた結果、人に喜ばれ、お金をいただいてもいいんです。 自発的になることよりも、仕事に対するメンタリティを変えること。そして、仕事を楽しむこと。それが大切だと思います。

自発的な職場を作るために

自発的な人が多いほうが、職場も断然活気付きますし、いろんな課題も前向きに解決できると思っています。だからこそ、多くの管理職や人事のみなさんが「自発的な人を育てたい」と思われているのでしょう。

けれども、仕事は一般的に「楽しくないもの」「厳しいもの」「少しぐらい我慢して当然」と思われています。これでは、自発的な組織にはなりえませんし、「自発的になれ」と指示・命令している状態は、そもそも自発的ではありません。

自発性とは、「自分から動きたくなる」こと。そのために必要なのは「楽しさ」です。これに勝るものはありません。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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