職場のコミュニケーションを改善する「組織活性化の取り組み」

「職場のコミュニケーションが悪い」――これは、多くの職場でお困りのテーマではないでしょうか。

2007年に第一生命経済研究所が調査した『職場のコミュニケーションに関するアンケート調査』によれば、「職場の人間関係上のコミュニケーション満足度」は7割近くが「まあ満足」としながらも、職場での交流の実態は、「上司・部下や同僚と飲みに行く機会に『よく参加』するのは 1 割未満」「年代が上がるにつれて、職場で飲みに行く機会は『かなり減った』と感じている人が多い」「メールは『気軽に送れる』反面、『真意が伝わっているか心配』など、利点欠点が混在」などとなっています。

そこで、コミュニケーションの改善策として、よく「飲みニケーションを増やす」などの意見が出されます。しかし、そもそも人間関係があまりよくないのに、飲みに行けばコミュニケーションがよくなるのでしょうか。

この記事では、職場のコミュニケーションを改善するための取り組みについて見ていきます。

職場のコミュニケーションが悪い理由

まず、「なぜ、職場のコミュニケーションが悪くなるのか?」について考えてみましょう。なぜなのでしょうね。

その理由を一言で言えば、「言いたいこと(本音)が自由に言えない」ということに尽きるのではないかと思います。「本当は言いたいことがある。でも、なんとなく遠慮してしまう」「本音はあるけど、話しても無駄だと思っている」など、その程度はさまざまだと思いますが、とにかく「言いたいことが自由に言えない」のです。

ではなぜ、「言いたいことが自由に言えない」のでしょうか。その理由には、「ピリピリしていて話せる雰囲気ではない」「上司が威圧的で相談しにくい」「過去に悩み事を相談したが、何も対応してくれなかった」など、さまざまな理由があるでしょう。程度の差こそあれ、あなたにもこのような経験があるのではないでしょうか。

つまり、「職場の風土」が悪く、一人ひとりの「心の距離」が離れているのです。

「職場の風土」がよくない状態で、どんなに「コミュニケーションをよくしよう」「あいさつしよう」「報告・連絡・相談しよう」「たまには飲みに行こう」と言っても、なかなかうまくいかないと思います。

離れている「心の距離」を縮めるためには、何でも話せる「安心・安全な場」が必要です。

職場のコミュニケーションを活性化する必須条件

2012年、米グーグルは「プロジェクト・アリストテレス」という、職場改革プロジェクトを立ち上げたそうです。このプロジェクトの目的は「より生産性の高い働き方を提案すること」でした。

データ分析はグーグルの得意技。「チームワーク」をテーマに、優れた成果を出すチームに共通するパターンを見出そうとしたのです。しかし、どんなに分析しても明確なパターンを見出すことはできなかったそうです。

さらに調査を進めた結果、最終的にたどり着いたのは「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といったメンタルな要素の重要性だったといいます。成果を出すチームには、「安心・安全な場」が必要だったのです。

現代ビジネスの記事、グーグルが突きとめた!社員の「生産性」を高める唯一の方法はこうだでは、次のようにいっています。

つまり「こんなことを言ったらチームメイトから馬鹿にされないだろうか」、あるいは「リーダーから叱られないだろうか」といった不安を、チームのメンバーから払拭する。心理学の専門用語では「心理的安全性(psychological safety)」と呼ばれる安らかな雰囲気をチーム内に育めるかどうかが、成功の鍵なのだという。

出典:グーグルが突きとめた!社員の「生産性」を高める唯一の方法はこうだ | 現代ビジネス

職場を「安心・安全な場」にする最初のステップ

では、職場を「安心・安全な場」に変えるためには、何をすればよいのでしょうか。

一言で言えば、「なんでも言い合える場を作る」ことが、最初のステップなのではないかと考えます。

ここで、筆者の事例をお話しましょう。筆者は以前、IT業界で20名ほどの部下を抱える中間管理職でした。職場には威圧的な上司がいて、言いたいことを自由に言えない雰囲気。中にはストレスを抱えるメンバーもいました。というより、私自身もストレスで心が折れそうでした。

「なんでも言い合えない場を作る」方法なら分かりました。今までされてきた威圧的なマネジメントをすればいいのです。けれども、「どうすれば、なんでも言い合える職場にできるのか」は分かりませんでした。悩みました。

そこで、コミュニケーションの勉強を始めました。最初に習ったのは「話の聞き方(傾聴)」でした。話の聞き方を習った理由は、相手の話を聞いていると、つい、アドバイスしてしまったり、「それは違うよ」と批判的になってしまったりと、自分の話をしたくなってしまうからです。

話の聞き方の方法自体は、それほど難しくありませんでした。何度か練習に通ったところ、話を聞くコツを体得できました。

続いて、職場で実践してみることにしました。毎月1人30分間、部下の話を聞くことにしました。

最初のうちはうまく話を聞くことができませんでした。けれども、こちらのことは一切話さずに、部下の話だけに耳を傾けて話を聞くようにしたら、次第に心の距離が縮まったのでしょう。仕事のこと、困っていること、プライベートのことなど、部下のほうから話してくれるようになりました。

一人ひとりとの関係がよくなってくると、職場の雰囲気が次第に明るくなりました。「この場は、何でも話していいんだ」という風土に変わっていったのだと思います。会議を開いても、以前と比べて積極的に発言してくれるようになり、議論が活発になるので、職場が楽しくなっていったのです。中には自主的に勉強会を始める人も出てきました。

この経験を通じて分かりました。職場にはとにかく「安心・安全な場」が必要なのだと。それさえあれば、自然とコミュニケーションがよくなり、働きやすい職場に変えることができるのだと。

傾聴が職場の活性化にもたらす効果

傾聴が職場の活性化にもたらす効果をまとめてみました。職場で傾聴を積極的に取り入れることによって、次のような効果が期待できます。

  • 安心・安全な場が生まれる
  • 言いたいこと(本音)が自由に言えるようになる
  • 部下が積極的になり、さまざまなアイデアが出るようになる
  • 部下一人ひとりの考え方が分かるようになる
  • 部下の悩みが分かる。問題が大きくなる前に対応することができる

なお、傾聴はスキルなので、練習すればだれでも身に着けることができます。詳しくは傾聴とは相手に意識を100%向けて理解しようとすること話を聞く効果を最大化する2つの傾聴技法と6つのポイントをご覧ください。

まとめ

職場のコミュニケーションを改善する組織活性化の取り組みについて見てきました。

職場の活性化というと、とても難しくお感じになると思いますが、その基本はとてもシンプルであることがお分かりいただけたでしょうか。

職場や組織は、人と人との営みです。「この人なら、あるいは、この場なら言っても大丈夫だ」という安心・安全な場があれば、自然と会話が生まれ、活発になっていきます。

もし、職場のコミュニケーションをよりよくし、活性化したいと思われましたら、まずは、相手の話を聞き、安心・安全な場を作ることからはじめてみてはいかがでしょうか。

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著者

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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