世論調査に見る「仕事に対する価値観」と仕事の楽しさ

仕事に対する楽しさについて、あなたはどのような価値観をお持ちでしょうか。

感じ方は人それぞれなので、何がいいとか悪いではありませんが、「せっかくやるなら、楽しいほうがいいよね」というタイプの人もいれば、「そもそも、仕事は楽しいもんじゃないでしょ?」というタイプの人もいるでしょう。

今でこそ、「仕事は楽しいほうがいい」と思っている筆者も、かつては仕事が楽しくなかった時代があります。その時は「仕事は楽しいほうがいい」という人を、あまり信用していませんでした。ですから、「そもそも、仕事は楽しいもんじゃない」という気持ちもよく分かります。

けれども、ビジネスパーソンにとって、一日の中でもっとも多くの時間を過ごしているのが仕事です。それならば、楽しいほうがいいのでは?とも思います。

そこで、この記事では、世論調査に見る仕事に対する価値観や、なぜ、仕事は「ツライ」よりも「楽しい」ほうがいいのか、仕事が楽しいとどうなるのかについて扱います。

世論調査に見る「理想的な仕事」

ところで、仕事の楽しさについて議論する前に、まず、世の中の人たちが仕事に対してどのような感じ方をしているのかを見てみましょう。

仕事に対する意識について調べてみると、いくつかのアンケート結果がありました。公的なデータを探したところ、平成28年度の世論調査がありました。

この調査によれば、「働く目的は何か」という問いに、「お金を得るために働く」と答えた者の割合が53.2%,「社会の一員として,務めを果たすために働く」と答えた者の割合が14.4%,「自分の才能や能力を発揮するために働く」と答えた者の割合が8.4%,「生きがいをみつけるために働く」と答えた者の割合が19.9%となっています。

このデータからは、多くの人にとって仕事は「仕事はお金を得るために働く」という目的があるようです。

一方、「どのような仕事が理想的だと思うか」という問いには、「収入が安定している仕事」を挙げた者の割合が60.9%と最も高く,以下,「自分にとって楽しい仕事」(57.6%),「自分の専門知識や能力がいかせる仕事」(39.4%),「健康を損なう心配がない仕事」(32.0%)などの順となっています(複数回答,上位4項目)。

このデータからは、仕事に対する理想は「安定」がもっとも大きな要素でありつつも、同じぐらいの割合で、「楽しさ」も求めていることが分かります。

なぜ、仕事に楽しさを求めるのか

では、なぜ、仕事に楽しさを求めるのでしょうか。

その理由を筆者は、「仕事は、人生の一部である」だからではないかと感じています。

ビジネスパーソンが一日の中で占める仕事の割合は、労働時間が8時間だとすると、1日の3分の1の時間を占めています。通勤時間や残業時間を入れると、2分の1ぐらいの時間を占めていると言ってもいいでしょう。

ということは、仕事が楽しく、生きがいを感じられれば、人生そのものが楽しく、生きがいも感じられるということです。仕事がいい気分で過ごせれば、その気分は当然、プライベートにも影響を与えるでしょう。そうすれば、さらに人生は充実することになります。

このように、仕事に楽しさを感じられるようになると、人生そのものが充実してくるのです。

「仕事とそれ以外」を分けることの問題点

一方、ワーク・ライフ・バランスという言葉がそうであるように、近年は「仕事」と「仕事以外」とを分けて、バランスを取ろうとする動きもあります。

もちろん、人生は仕事ばかりではありません。子育てや介護などの家族との時間や、地域コミュニティとの関わり、そして、趣味や友人との時間など自分自身の時間も、人生を充実させる上で大切な要素であることに間違いはないでしょう。

けれども、仕事は人生の一部であり、人生と仕事を切り離せるわけではありません。

それならば、「仕事」と「仕事以外」を分けたり、「仕事は生活のため、お金のために我慢して働くツライものだ」と考えたりするよりも、「仕事は人生の一部」と考えて、「仕事も人生も楽しいほうがいい」としたほうがいいのではないかと思います。

仕事が楽しいほうが結果にもつながる

また、私の意見では、「仕事が楽しいほうが、結果にもつながりやすいのではないか」と考えています。

例えば、仕事に限らず、楽しくないことは自分から「よし、やろう!」という気持ちも起こりませんし、やる気もでません。一方、楽しいと思えることなら、自分からやりたくなりますし、一生懸命取り組みます。人間とは、そういうものだと思います。

自分からやりたくなったり、一所懸命取り組んだりすることができることなら、嫌々やることよりも、当然結果にも違いが表れるでしょう。それならば、仕事も楽しいほうが断然いいのではないかと思います。

まとめ

世論調査に見る仕事に対する価値観や、なぜ、仕事は「ツライ」よりも「楽しい」ほうがいいのか、仕事が楽しいとどうなるのかについて見てきました。

これまでの仕事に対する価値観の多くは、「仕事はツラく、厳しいものだ」というものが多かったように思います。「仕事だから仕方がない」そんな言葉もよく聞かれます。その背景には、「楽しいわけがない。楽しくてはいけない」という考え方があるからなのではないかと思います。

けれども、世論調査でも明らかになっているように、多くの人は仕事に、「収入の安定」に加えて、「自分にとって楽しい仕事」も求めています。それならば、「どうしたら、仕事が楽しくなるか」ということを、職場でも、そして、自分自身でも、考える時期が来ているのではないかと考えます。

もちろん、仕事に対する価値観は人それぞれなので、何を選ぶかは個々人の自由です。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

メールマガジン

MAIL MAGAZINE

メールマガジンをお読みになりませんか?

コミュニケーションやチームづくり、自分との関わり方、これからの働き方など、「楽しくはたらく」ヒントをお送りしています。