NLPと資格―学ぶと得られること得られないこと
「NLPを学んでみようかな?」と思っている方にとって、関心が大きいことの一つに資格があるのではないでしょうか。
せっかく貴重な時間とお金を使って学ばれるわけですし、就職や転職に、そのほか、さまざまな事柄に、有利に、有効に活かしたいと思いますよね。
また、NLPはもともと、優れたセラピストの言葉の使い方や関わり方を体系化したコミュニケーションツールです。コンサルタントやコーチ、カウンセラーとして活動されている、もしくは、目指している専門家にとって、資格が仕事にどう役立つのか、関心をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
そこで、先にNLPを学んできた一人の当事者として、NLPと資格について、何に活かせて、何に活かせないのかをまとめてみました。
NLPの資格にはどんな種類があるのか?
まず、NLPの資格の種類についてお話します。なお、ここでお話するのは、NLPの開発者の1人である、リチャードバンドラー米国NLP(TM)協会認定コースについての内容です。
リチャードバンドラーの米国NLP(TM)協会認定のコースには、次の2つのコースがあります。
リチャードバンドラー米国NLP(TM)協会認定NLPプラクティショナーコース
コミュニケーションの基礎的なスキルやテクニック、パターンについて学びます。
リチャードバンドラー米国NLP(TM)協会認定NLPマスタープラクティショナーコース
プラクティショナーコースの内容をさらに深め、さまざまなスキルやテクニックを組み合わせて、行動の柔軟性と、自分やまわりの人に具体的な結果を生み出すパターンについて学びます。
リチャードバンドラー米国NLP(TM)協会認定NLPトレーナーコース
NLPのスキルを教えることができるトレーナーコースです。アメリカでのトレーニングです。日本では一般財団法人NLPミレニアムジャパンとNLP Alliance Japanが窓口になっています。
文末に、各コースのもう少し詳しい内容を掲載しています。なお、トレーナートレーニングはプラクティショナーコース、マスタープラクティショナーコース受講後に、トレーナーにご確認ください。
NLPの資格を取ったら何に活かせるのか?
NLPはあなたと大切な人をHAPPYにするためのコミュニケーションツールです。NLPを学ぶことによって何を得られるのかについては、NLPとは?―「こうなったらいいな」が得られる3つの理由も合わせてご覧ください。
就職や転職にNLPの資格がどう役立つか
NLPの資格と取ると、履歴書や名刺などに、「米国NLP協会認定プラクティショナー」、または、「米国NLP協会認定マスタープラクティショナー」と記載することができます。自ら意欲的にコミュニケーションスキルを学んでいることがアピールできるでしょう。
一方、NLPの資格が実務的な評価として、就職や転職に有利に働くかは未知数です。なぜなら、NLPは「簿記」や「英検」のような、多くの人が知っている資格と異なり、「知る人ぞ知る資格」だからです。
もし、就職や転職に活かすなら、ご自身でも、「NLPがどういった資格なのか」を説明できるようにしておくといいでしょう。
専門家の仕事にNLPの資格がどう役立つか
コンサルタントやコーチ、カウンセラーなどの専門家は、ビジネス的な実務経験もさることながら、コミュニケーション能力が非常に求められる仕事です。なぜなら、クライアントが抱えている問題を解決するためには、何に困っているのかをていねいにヒアリングし、真の課題が何なのかを引き出し、必要に応じて最適な提案をする必要があるからです。
資格の有無に関わらず、専門家として能力を最大限発揮するためにも、コミュニケーション能力は大切です。
また、資格は一つの「信用の証」でもあります。名刺等に記載されていれば、「常にスキルを勉強している」ということをアピールすることになるでしょう。
一方、すでに上記でもお話したように、NLPは「知る人ぞ知る資格」です。クライアントが分かりやすく理解できるように、「NLPがどういった資格なのか」を説明できるようにしておくといいでしょう。
NLPの資格を取ると専門家になれるか
専門家になるために、まず、NLPを学んでみたいと思っている方もいるでしょう。「NLPの資格を取ることで、コーチ、カウンセラーになれるか」については、その答えはYesでもあり、Noでもあります。なぜなら、コミュニケーションスキルを身につけることと、専門家として生計をたてていくことは違うからです。
NLPの資格を取ればコーチやカウンセラーになれるか
NLPを身につけることによって、コーチやカウンセラーに必要な、基本的なコミュニケーションスキルを身につけることができます。ご自身で「私はコーチです」「私はカウンセラーです」と名乗れば、コーチであり、カウンセラーになれます(もちろん、専門家として活躍するためには、資格を取った後に十分な経験を積んでください)。
NLPの資格を取れば専門家として独立できるか
専門家として独立し、生計を立てていくためには、コミュニケーションスキルに加えて、経営や会計のスキル、広く多くの人に知ってもらうためのマーケティングなどのスキルが別に必要です。
もっとも、どんな専門家でも、最初は素人だったわけですから、できることから少しずつステップアップしていけば、それほど恐れることもないでしょう。
NLPの資格を取れば専門家として就職できるか
「NLPの資格を取ることで、コンサルタントやコーチ、カウンセラーとして就職できるか」については、現実的には、やや難易度が高いと言えるでしょう。なぜなら、そもそもコーチやカウンセラーを募集している企業や団体が少ないことや、(すでにお話したように)NLPは「知る人ぞ知る資格」だからです。
直接的ではないかもしれませんが、セールスマンや、システムエンジニア、美容関係、教師、健康に関する仕事など、顧客の悩みを聞き、そのために必要な解決策を提案するあらゆる仕事は、コンサルタント、コーチ、カウンセラーそのものです。職業にこだわらずに「何をしたいのか」を考えてみると、その可能性は無限に広がるでしょう。
「何をしたいのか」を見出すためには、この質問が便利です。「NLPの資格を得ることは、私にとってどんな意味があるのだろう?」
最終的な判断基準
ここまで、NLPと資格についてお話してきましたが、いかがでしたか?
貴重な時間とお金をかけて学ばれるわけですから、「せっかくなら資格も取りたい」と思われるのは自然なことです。
一方、最終的には、「資格を取ると有利か」のように、資格に視点を置くよりも、「何のためにコミュニケーションスキルが必要なのか」など、「NLPを学ぶことでどうなりたいのか」を考えてみると、NLPを学ぶべきか否かが見えてくるのではないかと思います。
最後に、NLPを学ぶべきか否かを判断するための質問をご用意しました。一つずつ考えてみてください。
- あなたの手に入れたいゴールは何ですか?
- ゴールが手に入ったら、どのように分かりますか?
- ゴールはいつ、どこで、誰と創りたいですか?
- ゴールを手に入れたらあなたの人間関係や周りの環境はどのように変化しますか?
- ゴール達成のために、あなたが既に持っているスキルや能力は?
- 今現在、成果を手に入れるのを止めているものは何ですか?
- ゴールを手に入れることは、あなたにとってどのような意味がありますか?
- まず何から始めますか?
これは、ゴールを実現するための8つの質問(8フレームアウトカム)というNLPのスキルの一つです。
参考: NLPで得られる資格について
NLPを学ぶことによって得られる資格について、「NLPトレーナーとしての活動 および コース開催 ガイドライン」より情報を引用しました。専門用語が含まれるために分かりにくい部分もあるかもしれませんが、参考までにご一読ください。
NLPプラクティショナーコース
コース内容
NLPの基礎的なスキル、テクニック、パターン及びコンセプトを活用できる最低限の能力をもたせるようにプログラムされていること
NLPの前提と行動との統合
ラポール
言語・非言語のペーシング・リーディング
全方位のチャンキング
視線解析
膳感覚システムでのアンカリング導出、インストール、活用
ヴィジュアル・スカッシュ
スウィッシュパターン
リフレーミング(内容・状況)
表象システム
サブモダリティ
催眠誘導
二重誘導
メタファーの創造と活用
メタモデル
ミルトンモデル
タイムライン
恐怖症の治療
ストラテジーの導出、誘導、活用、インストール、TOTEモデル
言語&非言語の反応の誘導
リソースにアクセスし、リソースを築く
行動と態度の柔軟性のデモンストレーション
意識のシフトのための能力
個人の履歴を変える
よくまとめられたゴール(Well formed)・方向・現在の状態の導出出典:NLPトレーナーとしての活動 および コース開催 ガイドライン|米国NLP協会
できないこと
NLPの文字が表題に含まれるトレーニングやセミナー、または、NLPに関するトレーニングやセミナーは行うことはできない。また、コミュニケーションセミナー等、他のセミナーを企画開催する際に、そのセミナーの説明文中においても、「NLP」という字句を入れてはならない。
出典:NLPトレーナーとしての活動 および コース開催 ガイドライン|米国NLP協会
NLPマスタープラクティショナーコース
コース内容
- NLPの基礎的なスキル、テクニック、パターン、コンセプトをマスターしており、それらを状況に応じて、適用、応用する能力をつける
- プラクティショナーレベルのすべてのスキルにおける行動的能力と、それらのいくつかを同時にデモンストレーションする能力
- 行動の柔軟性と、自分や他者に具体的な結果を生み出す姿勢をデザインする能力
- 言語的なスキル、テクニック、パターンを具体化し活用する能力を持たせるようにプログラムされていること
以下の内容がすべて含まれていること
ビリーフの変換
メタプログラムの特定と活用
クライテリア
クライテリアの特定と活用
クライテリアの調整
スライトオブマウスパターン
意図的なマルチレベルのコミュニケーション
リアリティのスタッキング
タイムラインパターン
前提のスタッキング
時制と空間的述語
交渉
推進システム
ストラテジーのインストール
閾値パターン
一般化の破壊&新しいものを築く
素早い誘導、深いトランス現象
深いトランスの識別
自分や他者に対して変化を起こさせることをデモンストレーションする出典:NLPトレーナーとしての活動 および コース開催 ガイドライン|米国NLP協会
できないこと
NLPの認定コースは開催することはできない。加えてNLPの文字が表題に含まれるトレーニングやセミナーを行うことは許可されない。また、コミュニケーションセミナー等、他のセミナーを企画開催する際に、そのセミナーの説明文中においても、「NLP」という字句を入れてはならない。
出典:NLPトレーナーとしての活動 および コース開催 ガイドライン|米国NLP協会
投稿者プロフィール
- 1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。
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