「どうすれば、社員のストレスを減らして、前向きに働いてもらうことができるのだろう?」
社員のことを、会社のことを思っている経営者、人事、労務の方ほど、このようにお考えではないでしょうか。
本当は、社員に前向きに働いてほしい、イキイキワクワク仕事に励んでほしい……。
けれども、社内の実態を見ると、疲れている人が多いし、暗い顔をしている人もいる。最近は、休職者や退職者が増えているのも気になる……。このようなことにお悩みではありませんか。
私も悩んできた一人です

しごとのみらいの竹内義晴と申します。『もっと「楽しく!」しごとをしよう』をテーマに、職場のコミュニケーションやストレス改善の企業研修や講演、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングを行っています。
私は以前、仕事で大きなストレスを抱えた経験があります。その原因を一言で言えば、「ギスギスした職場」です。
当時、私はプログラマーでした。仕事が楽しく、やりがいを感じていました。けれども、30代になるとマネジメントやお金の管理が求められます。「生涯エンジニアでいたい」と思った私は、転職を決意しました。
けれども、転職先で待っていたのは、威圧的なマネジメントやストレスフルな仕事でした。今まで感じていた仕事へのやりがいも感じられなくなり、胃がキリキリと痛み、心も折れそうになりました。毎朝会社に行くのが苦痛でした。
その後、転職のきっかけだった管理職を任されることになりました。自分のことさえマネジメントできないのに、周りの人のことなど考えられるはずもありません。けれども、年齢的に私しかいません。そこで、しぶしぶ引き受けました。あの時は本当につらかった……。
けれどもこの経験は、その後の私にとって、大きな転機になっていきます。
ストレスは社会的な問題になっています。しかし……
ビジネスパーソンのストレスやメンタルヘルスが社会問題になっています。うつ、またはその可能性がある人は8人に1人とも言われており、その対策として厚生労働省は、2015年12月1日、メンタルヘルス対策の充実・強化などを目的として、従業員数50人以上の事業場にストレスチェックの実施を義務付ける法律(ストレスチェック義務化)を施行しました。
ストレスを抱える人がたくさんいる中で、対策は必要だと思います。けれども、私は、これらの対策が本当に適切なのか疑問を持っています。なぜなら、これらの対策は、ストレスの問題を解決する本質からずれているように感じるからです。
ストレスは「心の病」や「心の風邪」と言われるように、一般的には「病気」と紐づけて考えることが多いようです。実際、ストレスチェックを受けて何かしらの問題が見つかれば、医療機関への受診がすすめられます。
けれども、医療機関を受診すれば、本当にストレスが軽減できるのでしょうか。もちろん、少しは楽になるかもしれません。けれども、それでストレスの問題が解決するとは思えないのです。
なぜか。ストレスを抱える根本原因が、何も変わっていないからです。
長時間残業がなくなればストレスは減るのか
また、近年、働き方改革の一環で、長時間労働の削減がさけばれています。人が人間らしく生きる上で、常識を逸脱した働き方は、当然、改善されるべきだと私も思います。
一方、長時間残業がなくなればストレスは減るのでしょうか。私はそう思っていません。なぜなら――繰り返しになりますが――ストレスの根本原因は、労働時間よりも、職場環境や人間関係、あるいは、物事の捉え方にあるからです。言い方を変えれば、毎日定時に帰っても、職場環境や人間関係、物事の捉え方がネガティブな状態ならストレスを抱えます。
厚生労働省の平成28年 労働安全衛生調査(実態調査)によると、労働者が仕事で強いストレスと感じている事柄は、多い順から「仕事の質・量」「仕事の失敗・責任の発生等」「対人関係」「役割・地位の変化」となっています。このデータが示すように、仕事の量がストレスに与える影響もあるでしょう。しかし、それ以外にも、職場環境や人間関係、物事の捉え方によるものが多いことが分かります。

もし、これらがストレスの根本原因ならば、「働きやすい職場の作り方」や「円滑な人間関係を作るコミュニケーション」「前向きな物事の捉え方」など、働きやすい職場になるような、ストレスを感じたときに自分で解決できるような解決策をご提示したい。そして、多くの人に、イキイキと、前向きに働いてほしい……私たちは、そう願っています。
つまり、ストレスを「対処療法」ではなく「そもそも」の部分から解決したいのです、
ストレスの問題を根本原因から解決するために必要なこと
しごとのみらいでは、ストレスの問題を解決する本質は「ストレスを解決する」ことではなく、「楽しく働くことができる環境を作る」ことだと考えています。
ストレスを「対処療法」ではなく「そもそも」の部分から解決するためには、次のような知識や経験が必要であることが、実務経験上分かっています。
- 働きやすい職場の作り方(特に管理職層)
- 円滑な人間関係を作るコミュニケーションスキル
- ストレスを感じたときの対応力、前向きな物事の捉え方
それぞれについて見ていきましょう。
働きやすい職場の作り方(特に管理職層)
そもそも、安全・安心な職場であれば、それほど大きなストレスを抱えないはずです。
米グーグルが2012年に調査した、生産性を向上させる調査「プロジェクト・アリストテレス」によると、生産性の良いチームを作るためには、「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といったメンタルな要素の重要性を挙げています。
グーグルが突きとめた!社員の「生産性」を高める唯一の方法はこうだ(現代ビジネス)では、次のように言っています。
「こんなことを言ったらチームメイトから馬鹿にされないだろうか」、あるいは「リーダーから叱られないだろうか」といった不安を、チームのメンバーから払拭する。心理学の専門用語では「心理的安全性(psychological safety)」と呼ばれる安らかな雰囲気をチーム内に育めるかどうかが、成功の鍵なのだという。
円滑な人間関係を作るコミュニケーションスキル
同じことを伝えるにも、ストレスをかける伝え方もあれば、前向きな気持ちにさせる伝え方もあります。動機づけるように指示する言葉の使い方もあれば、自分で考えるように促す言葉の使い方もあります。
また、同僚がストレスを抱えていると感じられるときに、話を聞くことでストレスが和らぐこともありますし、ねぎらいの言葉が仲間を救うこともあります。「この人は私のことをわかってくれる」「この人は信頼できる」……このようなコミュニケーションがある職場なら、ストレス自体を軽減できるでしょう。
ストレスを感じたときの対応力、前向きな物事の捉え方
仕事をしていれば、多少のストレスを感じることはあるものです。そのストレスをストレスのままにするのか、あるいは、力に変えるのは、本人の「物事の捉え方」にかかっています。
起こっている事実をなかったことにはできませんが、捉え方なら変えられる可能性があります。だからこそ、一見、ネガティブに思えるようなことにも、さまざまな可能性が生まれるのです。
しごとのみらいがご提案できる企業研修・講演
これらについて、しごとのみらいでは、次のような形で解決策をご提案したいと考えています。
ストレスや感情に対する知識
研修や講演を担当する竹内義晴は、海外でコミュニケーション心理学トレーニングを受け、資格を付与できるトレーナーです。その知識と経験は、人事・労務の専門誌やメディア、書籍などでご紹介しています。
カウンセリングやコーチングなどのコミュニケーションスキル
カウンセリングやコーチングなど、よりよい関係を気づくためのコミュニケーションスキルに熟知しています。現在もビジネスパーソンへのカウンセリングやコーチングを行っている実務家です。「この言葉で動いた」という事例が数多くあります。
職場を改善した実務経験
元々エンジニアだった私が人と関わる仕事を始めたのは、私自身がストレスフルな環境で悩み、改善してきた経験が根底にあります。
研修カリキュラムの一例
研修カリキュラムの例をご紹介します。
管理職向け:ストレスから社員を守る職場の作り方
ねらい
「そもそも、なぜ、ストレスを抱えるのか」「どのような職場ならストレスを抱えないのか」を理解し、安心・安全ば職場づくりができるととともに、部下がストレスを抱えている場合には、適切な対処ができる。
研修概略
- 統計・アンケート結果に見る「労働者の現状」
- なぜ、ストレスを抱えるのか?
- ストレスを軽減する職場づくりとコミュニケーション
- 部下のストレス対処の知識と方法
全社員向け:職場のストレス対策に、今、本当に必要なこと
ねらい
ストレスが少なく、働きやすい職場づくりについて、管理職任せにするのではなく、みんなで改善していくためにはどうすればよいのかが分かる。
研修概略
- 統計・アンケート結果に見る「労働者の現状」
- なぜ、ストレスを抱えるのか?
- 自分たちでできる職場づくりとコミュニケーション
- 仲間がストレスを抱えているときの対処方法
全社員向け:折れないしなやかな心のつくり方
ねらい
労働者のメンタルヘルスが社会問題になっているが、一度心が折れてしまうと、良い状態に戻るまでに時間を要する。心が折れる前に、自分の力でメンタル面をコントロールできるしなやかな心を作るためのレジリエンス(折れない心)の作り方をトレーニングする。
研修概略
- ネガティブな気持ちが生じる理由
- 人が物事を認知する一連の流れと認知構造
- ネガティブな気持ちと感情のコントロール
- 意識をポジティブに変化させる視点の切り替え方
事例:日本労働組合総連合会・新潟県連合会・上越地域協議会

労働者の自殺予防・メンタルヘルス研修(講演の模様)
関係記事:中小企業のメンタルヘルス対策に、今、必要なこと(ITmediaエンタープライズ)
最後に……
冒頭に、「私自身も大きなストレスを感じ、管理職として悩んだ経験がある」と申し上げました。あのときは、本当に苦しい時代でした。
けれども、あの経験によって、私は改めて「仕事って何だろう?」「働くって何だろう?」と、働く意義を考えるとともに、「同じ時間を過ごすなら、楽しく働きたい」と思うようになりました。
逆に、このように思うようになってから、「なぜ、多くの会社ではストレスをかけて社員を動かそうとするのだろう?」「なぜ、仕事だと、『大変なのが当たり前』『仕事はそんなに甘いもんじゃない』ということが曲がり通っているのだろう?」ということに疑問を持つようjになりました。
そもそも、安全・安心で楽しく働ことができる職場なら、大きなストレスを抱えずに済むはず。自然と前向きな意見が出てきて、みんなで協力しあえるはず。その結果が、会社の成長へとつながっていくのではないか……私が、自身の職場で経験したのは、このようなメンバーの姿でした。
それぞれの人が個性を生かして、仕事にやりがいを持ち、働きやすい会社でイキイキ楽しく働いていただくこと。みなさんの会社が、そのような場であること。私たちが願うのは、ただ、それだけなのです。
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