コミュニケーションで大切なことって何だろう?―フェリシモ×しごとのみらい

「コミュニケーションって難しい」……仕事や日常生活の中で、そう、お感じの方も多いのではないでしょうか。

株式会社フェリシモ様に、「やってみたかった、あんなこと・こんなことが”楽しく身につく”」をコンセプトにした「ミニツク」という、おうちレッスンプログラムがあります。

ミニツクのプログラムの1つ、「大人のことば遣いプログラム」。家族やママ友、上司など、相手に合わせて使える会話フレーズやテクニックが学べる12ヵ月の通信講座です。しごとのみらいでは、このプログラムの監修をさせていただきました。

そこで、本プログラムを企画されたプランナー・こなつさんと、しごとのみらいの竹内義晴で、プログラムを改めて振り返りながら、「コミュニケーション」をテーマに対談を行いました。

コミュニケーションで困っている人は多そうだ

竹内
このたび、「大人のことば遣いプログラム」を監修させていただいたわけですが、このプログラムを企画された背景についてお伺いしてもよろしいですか?
こなつ
私は企画担当で入社してから11年目になるんですけど、ちょうど企画を練っているときに、コミュニケーションの大きな失敗をしてしまいまして。大切な同僚と意見の違いから喧嘩になり、なんとかしたくて、一生懸命話せば話すほど斬りつけ合うような言い争いになってしまって、喧嘩別れをしてしまいました。どうすれば良かったんだろう、と企画同様あたまを悩ませていました。

プランナー・こなつ 株式会社フェリシモ コレクション企画事業部 ミニツクグループ。ファッションの企画を経て、おうちレッスンプログラム「ミニツク」の企画を担当。

竹内
実体験が企画のきっかけだったんですね。
こなつ
そうなんです。この体験を通じて、「似た経験を持っている方が多いんじゃないかな」と思ったんです。そこで、社内の同僚や友人に話を聞いたり、書店に並んでいる本を調べたりしているうちに、「どうやら、コミュニケーションで困っている人は多そうだ」ということが分かってきました。そこで、「今まで世の中にない、フェリシモらしいものを作れるのではないか」と思い、「大人のことば遣いプログラム」を企画することになりました。

竹内義晴(たけうち・よしはる) 1971年生まれ。自動車会社のエンジニア、IT業界でプログラマー/システムエンジニアを経て、2007年4月コミュニケーショントレーナー、コーチとして起業。2010年12月特定非営利活動法人しごとのみらい設立。著書に『うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム) 』『感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)』などがある。

竹内
「コミュニケーション」って、私たちは気軽に使う言葉ですよね。でも、範囲としては、かなり広い分野だと思うんです。どんなところに「困っている人が多いんじゃないか」と感じられたんですか?
こなつ
そうですね……よく、「女性の話は分かりづらい」なんて言いますよね。あと、コミュニケーションって、「うまくいっていない」ことは分かっても、「どんなことに困っているのか」と聞かれたら、具体的に「これです」とは言えなくて、「とりあえず困っているけど、何に困っているのかはちょっとわからないな」……みたいなことってありませんか。
竹内
あー、確かに。
こなつ
そこで、わかってもらいたいのに言いたいことがうまく伝わらなかったり、仲良く話したいのに会話が続かなかったりなど、日常の困りごとが解決できるようなテキストにしたいなと思いました。

コミュニケーションは「あり方」と「やり方」が大切

竹内
コミュニケーションが専門の方は、私以外にもたくさんいると思うのですが、なぜ、私にお声がけいただいたんですか?
こなつ
竹内さんが書かれた「やり方とあり方の両方大事」という記事がきっかけです。このテキストを企画するにあたって、コミュニケーションに関するいろんな本を読んでみました。コミュニケーションの本って「伝え方」や「頭の整理方法」、「考え方」、「心理的な面」など、いろんなジャンルがあります。でも、どの本も、テクニックならテクニック、マインドならマインドって感じだったんですよね。
竹内
そうかもしれませんね。
こなつ
例えば……伝え方のメソッドが書かれたある本には、「まず、自分が言いたいことを我慢しなさい」と書いてあるんです。「一度は、黙ってこらえなさい」と。それは、確かにそうだと思うんです。でも、「言いたいことを我慢して、向こうのメリットになる言葉に置き換えて伝える」というのを読んで、なんとなく「ざらっとした気持ち」になりました。自分の気持ちにふたをしたり、嘘をつくのは、コミュニケーションとして「あるべき姿なのだろうか」と。
竹内
「とにかく相手に合わせる」というのは、ちょっとつらいですよね。
こなつ
また、別の本では「大切なのは、人と人とご縁です」みたいな、マインド重視の本もありました。確かにご縁も大切だとは思います。でも、マインドだけでは、具体的にどうすればいいのかが分かりません。
竹内
「精神論だけじゃ……」みたいな。
こなつ
自分の方法論のある人が、プラスアルファの情報として、テクニックやマインドを知るんだったらいいと思うんです。でも、そもそも困っている人が、コミュニケーションの「何がだめだったんだろう?」と思った時、道しるべにはならないなと思ったんです。
竹内
ある程度できる人だったら、いいかもしれないけど。
こなつ
そうなんです。そう思っていた時、たまたま、竹内さんの記事を見かけました。「コミュニケーション上手になるためには、『やり方』と『あり方』が大切です」という一文を読んだとき、「これだ!」と思いました。「あー、私はこれにモヤモヤしていたんだ」ということに気づいたんです。「小手先のテクニック」だけ伝えるのも嫌だし、「マインド」だけ言われてもやり方が分からないから困っていたんだと。そこで、竹内さんに監修をお願いしようと思いました。
竹内
コミュニケーションについてお伝えするとき、テクニックのことを書く方が簡単なんですよね。「〇〇の3つの法則」みたいにして。逆に、「ご縁が大切」みたいな話は、ややもするとお説教っぽくなってしまいがち。でも、「やり方も、あり方も、両方大切」……というのも確かにあって。なので、「コミュニケーション上手になるためには、『やり方』と『あり方』が大切です」という一文が、お声がけいただいた理由だと伺って、とてもうれしいです。

多様な女性のコミュニケーションが楽になるように

竹内
ところで、「大人のことば遣いプログラム」は、どんな方々に対して、どんな風になっていただけたらいいなと思って企画されたんですか?
こなつ
フェリシモのお客様は、40代を中心に30代~50代の女性が多いんですが、この年代の女性は、男性に比べると人生の選択肢が豊富なんですよね、自分らしさを見つけながら進む「枝分かれ期」というか。「結婚する人/しない人」「子供を産む人/産まない人」「仕事をする人/しない人」みたいに。大きく分けるとそうですが、もっと多様ですよね、私もまさに真っ只中です。それぞれの先で役割を持つみなさんが、少しでも人付き合いが楽になる、楽しくなるようなお手伝いができたらいいなと思いました。
竹内
確かに、その世代の女性は多様ですよね。読者が多様ということは、テキストを作る側としてはとても難しかったんじゃないかと思うんです。「広く浅く」にすると具体性に欠けるし、ある層を強めると、それ以外の方から共感されないし。
こなつ
このテキストには、4人の登場人物がいます。独身で仕事と恋に一生懸命なほのかさん、保育園に通う子供がいることはさん、小学生に通う子供がいて PTAや地域などの関わりがあるまさこさん、旦那さんと2人暮らしでキャリアウーマンのあゆみさんです。それ以外は全員動物なんです。クセが強い動物たちが、4人を困らせる日常を、会話の力を借りて楽しく成長していくシーン設定です。この4人にまんべんなく登場してもらうことで、枝分かれ期を過ごしている女性のみなさんが、それぞれの暮らしや困りごとに共感していただけるのではないかと思いました。
竹内
いろんな枝分かれ期のライフスタイルを挙げ、困りごとに一つ一つ解決策を提示していく感じですね。

テキストで印象深いところ

「大人のことば遣いプログラム」は、12か月に渡ってお手元に届く。毎回テーマが異なり、「コミュニケーションの基本」「伝え方」「質問の仕方」「話の聞き方」「励ます声の掛け方」など、取り組みやすいテーマ順で構成され、毎月少しずつチャレンジしながらコミュニケーションを身に付けていく1年カリキュラムになっている。

竹内
このテキストは、コミュニケーションを12個のテーマで学べるようになっています。もっとも印象に残っている内容を、2~3あげていただくことはできますか。
こなつ
この12冊のテキストは、それぞれに思い入れがあって、時には関係者と、喧々諤々(けんけんがくがく)やりながら作ってきました。その中で、私が一番好きなのが、レッスン7の「ネガティブコミュニケーションも得意な人ってどんな人?」です。発表会にうまくできなかった子供を励ます言葉があるのですが、それがもう優しすぎて(笑)。「世界が、こんな優しさであふれていたらいいのに」と思います。2つ目が、レッスン1の「コミュニケーションが得意な人ってどんな人?」です。「『やり方』と『あり方』、どっちも大事」……というお話ですね。小手先だけのコミュニケーションは本当に空虚だと思っています。3つ目が、レッスン6の「信頼される人ってどんな話し方?」です。この中に紹介されている「結論を言ってから、理由を言って、ポイントを繰り返す」という伝え方は、日常会話で役立ちそうで、とても参考になりました。あと、すごく基本的なんですけど、レッスン1の「送受信してこそコミュニケーション」は、すごく、「ハッ!」としたんです。
竹内
というと?
こなつ
コミュニケーションの本って、「伝えたいことを、伝えるにはどうしたらいいか」みたいなものがたくさんありますよね。でも、それは会話ではなく「スピーチ」だったと、今になって思います。「投げる方法」ばかりを考えて、「投げる球」ばかりこねている感じです。
竹内
「さーて、投げるぞー」……みたいな(笑)

こなつ
そうです(笑)。かなりひとりよがり。球の製作:自分、投手:自分、審判:自分、打者を見ずに大暴投……みたいな。そういう「投げる方法」も、プレゼンとかスピーチとか、仕事の面では役立つと思います。でも、コミュニケーションが「大事な人を相互理解すること」と考えた時、相手を理解するよりまず先に、「自分のことを理解してもらうにはどうしたらいいのか」だけを考えているというのは、違うなと思うようになりました。だからうまくいかなかったんだと(笑)。

企画者として思う「コミュニケーションで大切なこと」

竹内
今回、「大人のことば遣いプログラム」を作られてみて、改めて、「コミュニケーションで大切なこと」って、何だと思いますか?
こなつ
繰り返しになりますが、「送受信してこそコミュニケーション」ですかね。
竹内
その心は?
こなつ
私は、仕事でもプライベートでも、自分に正直にいたいと思っています。正直は一方通行になるとわがままになりますが、相互通行になるとお互いを理解する大事なヒントになると思うんです。そのために、正直って大事だと思うようになりました。
竹内
そうですね。
こなつ
角が立たない相互通行は、コツが必要ですよね。少なくとも、私には必要でした。自分ができるだけ心地よくいるためにも、自分のことは角が立たず正直に伝えて、相手の話も聞ける……今回の企画を通じて、送受信のコミュニケーションをしたいと、改めて思うようになりました。
竹内
確かに、「正直でいられる」って大切ですよね。仕事の場では、本音を言えない、言わないことも多いから。
こなつ
言いたいことや、主義主張を曲げる必要はないなと思うんです。相手をおもんばかって、言い方を選ぶだけ。仕事や生活では、意見の折り合いをつけなければならないことがあります。そのとき、自分と違うものを排除したり、拒否していたのは、子供だったなぁと今は思います。
竹内
排除される側になると、悲しいですもんね。
こなつ
「みんな違って、みんないい」みたいな。大切な人と長く付き合っていくために、折り合いをつける方法はきっといろいろあるし、その要素は、テキストになるべく多く入れたつもりです。やりようはたくさんあるから、我慢せず、正直に、できればいいなと思います。私ももっぱら修行中の身ですけどね(笑)。

フェリシモさんのサイトでインタビュー記事を掲載いただいています

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著者

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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