組織作り

コミュニケーション教育が人材育成と業績に与える影響

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人材育成の担当者や管理職にとって、社員の教育は最も関心が高いことの一つではないでしょうか。

これまでの社員教育といえば、仕事に直接役立つスキルトレーニングが中心でした。また、コミュニケーション系の研修では、挨拶をはじめとしたマナー研修などが一般的でした。

けれども、日本社会ではさまざまな課題が多くある中、社員が一致団結してさまざまな課題に取り組む必要があります。また、近年は労働者のストレスが社会問題になっていますが、コミュニケーション不全はメンタルにも影響を与えています。

そこで、この記事では、コミュニケーション教育が人材育成や業績に与える影響と、必要なコミュニケーション教育について見ていきます。

コミュニケーション教育が企業に与える影響

まず、企業におけるリソースの構造と、社会に与える影響について見てみましょう。

企業は人の集団です。あらゆる企業活動は人によって行われています。人と人とが関わる手段がコミュニケーションです。

人の集合によって組織が生まれます。組織を上手く回すために、人事や労務、財務など、さまざまな業務システムが回っています。

人や組織によって創り出されるのが、さまざまな商品やサービスです。これらを創り出すためには業務スキルが必要です。業務スキルには、商品やサービスを開発するような技術的なスキルもあれば、それを顧客に伝えていくマーケティングなどのスキルがあります。

これらの企業活動を通じて、商品やサービスは顧客に届けられます。それらは業績となり、次の商品開発や業務システムを上手く回すために反映されます。

このように見てみると、企業活動の全ての根底にあるのは、人であり、コミュニケーションであることが分かります。

言い方を変えると、よりよいコミュニケーションがあってこそ、はじめてよりよい組織が生まれ、その組織によって、よりよい商品やサービスが作られ、顧客とのよりよいコミュニケーションによって、サービスが提供され、その結果、業績に影響していくことが分かります。

このように見てみると、「人材育成の入り口の全てはコミュニケーションだ」というのは言い過ぎかもしれませんが、それでも、企業の「構造としての事実」がありますので、ここは改めて、しっかりと押さえておきたいところです。

人材育成とコミュニケーション教育の実際

ところで、人材育成におけるコミュニケーション教育はどのような状況なのでしょうか。

一般財団法人日本生涯学習総合研究所の「企業における人材育成」に関する実態調査によれば、現在、実施している「職種・目的別教育」の中で、回答した約半数の企業がコミュニケーションスキル研修を行っていることが分かります。

出典:企業における人材育成」に関する実態調査 |一般財団法人日本生涯学習総合研究所

また、メンタルヘルス研修やリーダーシップ研修も、コミュニケーション教育の一環として捉えると、約半数の企業が取り組んでいます。

約半数の会社がコミュニケーション研修に取り組んでいるのは意外な感じがしました。現在も、割合的には技術者・技能者研修の方が多いですが、一昔前なら、もっと技術者・技能者研修の方が多かったのではないかと感じます。なぜなら、筆者は1971年生まれで大企業、中堅企業、小規模企業など、いろんなタイプの企業に属したことがありますが、個人的な経験上「コミュニケーション研修」を受けた経験がほとんどないからです。

それだけ多くの企業が、コミュニケーション教育の重要性に気付き始めているのが伺えます。

コミュニケーション教育を行うべき世代層

では、コミュニケーション教育を行うべき世代はあるのでしょうか。

筆者の意見では、中堅世代から管理職層に対して行うべきだと考えています。なぜなら、中堅世代や管理職世代の関わり方一つで、組織やチームの活気は変わってくるからです。

前出の一般財団法人日本生涯学習総合研究所の「企業における人材育成」に関する実態調査によれば、「後輩や部下を教育するのには向いていない先輩・上司が、以前より増えていると思うか」という問いに対し、「思う」が 17.1%、「少し思う」が 36.7%、「思わない」が 28.6%であり。約半数の社員教育担当者が「指導に向いていない先輩・上司が増えている」と回答しています。

また、同アンケートを元に執筆された、惠志泰成氏のコラム〜シリーズ・検証 OJT の光と影〜第9回 人を育てるために必要な能力、スキルによれば、次のように指摘しています。

この「先輩・上司に指導力がない」という指摘は、すでに 2000 年代前半から注目を集めていた。当時、その要因は、「先輩・上司の教える経験の乏しさ」にあるとされることが多かったが、それはとりもなおさず「先輩・上司の教えられた経験の乏しさ」に起因していたのだ。

バブル経済崩壊の時期に入社した世代は、2005 年の段階ですでに 30 歳台後半になっていた。まさに新入社員、若手社員を率先して育てなければならない世代である。しかもすでに述べたように2000 年代前半は、人材育成の重要性が再認識され、OJT が見直された時期だった。しかし何せ自分たちは、リストラされる上司・先輩を横目に放ったらかしにされ、“ 育てられた ” という実感がないのだ。

出典:第9回 人を育てるために必要な能力、スキル |一般財団法人日本生涯学習総合研究所

実際、筆者はバブル崩壊の時期に社会人になった世代ですが、景気の悪化によって新入社員が採用されなくなり、30歳代になっても一番若手という友・知人が多くいます。若手社員を育てる経験がないまま管理職世代になり、かつて、自分たちが上の世代から行われてきた叱咤激励型の指導を行っても、若手社員はくじけてしまいます。そのため、「どのように関わったらいいのか分からない」という声をよく耳にします。これは、中堅世代にとってもストレスです。

中堅、管理職世代に対するコミュニケーション教育の必要性がお分かりいただけるでしょう。

中堅世代に必要なコミュニケーション教育

若手社員と上手く関わっていくために、中堅世代には次のような教育が必要です。

傾聴力

若手社員との信頼関係を構築していく上で、最も基本となるのが傾聴力です。「自分の言い分を理解しようとしてくれる」「分かろうとしてくれる」という姿勢が信頼関係を作ります。話を聞いた分だけ、信頼関係が作られます。

また、近年は労働者のメンタルヘルスが問題になっていますが、日常から若手社員の話を聞く習慣があると、過度なストレスを抱えるまえに発散できる他、状況も把握できるため、若手社員を心が折れるまで追い込むこともなくなります。

アドバイス力

アドバイス力とは、「同じ事柄を前向きに伝える能力」のことです。

中堅世代の人たちは、上の世代から、「プレッシャーをかけられる」「自分の意見に反して命令される」など、叱咤激励型の教育を受けてきました。それをそのまま若手世代に行うと、人間関係を悪くしてしまいます。例えば、「キミはなんでいつも失敗するの?何度言ったら分かるの?」のような問題点の指摘は、若手社員の意識をネガティブにします。

一方、「どうすれば、今度は上手くできるだろう?」「同じ失敗をしないためには、この経験をどのように生かせる?」「〇〇にしてくれたらうれしいな」のような解決志向型のアドバイスは、若手社員の意識を前向きに導きつつ、改善点を指摘できます。

コーチング力

中堅世代、管理職世代はやるべき仕事や責任もあるため、仕事はできるだけ若手世代に任せられるよう、自発的な人材を育てていく必要があります。その場合に求められるのがコーチング力です。

コーチング力は、若手社員に自分で考える機会を与え、自ら改善する能力を身に付けることができます。これによって、中堅世代が仕事を一人で抱え込む必要がなくなり、過度なストレスを軽減できる他、リーダーとして本来やるべき仕事に取り組むことができるようになります。

ファシリテーション力

ファシリテーション力は、狭義の「会議術」です。会議などで活発な意見が出るよう場を作り、参加者からさまざまな意見を引き出しながら、会議目的に向かって合意形成を図っていく方法です。

特に、時代の流れが早く、課題が多い現代には、関係者から活発なアイデアや意見を引き出し、結集していく能力が求められています。

コミュニケーションが企業活動全てのベース

コミュニケーション教育が人材育成や業績に与える影響と、必要なコミュニケーション教育について見てきました。

技術者・技能者研修に比べると、コミュニケーション教育には難しさもあるかもしれません。けれども、さまざまな課題がある今の時代に企業が繁栄していくためには、人を育てる教育が必須だと感じています。

なぜなら、――繰り返しになりますが――人は、コミュニケーションは企業活動全てのベースだからです。

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