「怒る」って悪いこと?―怒りを上手に生かす法

しごとのみらいの蓮井恵一です。

みなさんは、「怒る」ことは悪いこととお考えでしょうか?

一般的に怒ることは人間関係の悪化やトラブルを引き起こすなど、悪いことと思われがちです。私も怒ってしまったことで後悔した経験が少なからずあります。

「怒る」ことはディメリットが多い

ジョージタウン大学のクリスティーン・ポラス氏による次のような実験結果があります。

  • 直接暴言を吐かれた人は、処理能力が61%、創造性が58%落ちる。
  • 自分の属しているグループに暴言を吐かれた人は、処理能力が33%、創造性が39%落ちる。
  • 他人が暴言を吐かれるのを目撃しただけでも、処理能力が25%、創造性が45%落ちる。

このようにビジネスシーンでも、暴言は相手だけでなく周囲の生産性を低下させており、怒ることは悪いことという考え方が一般的になってきています。

また、ロンドン大学の研究では、怒ると6時間以上免疫力が下がることが示されており、「怒り」は体にも悪いようです。

では、怒ることは悪いことばかりなのでしょうか?

「怒り」の感情は防衛感情とも呼ばれ、誰もがもっている自然な感情です。ある意味「怒り」は生理現象であるので、我慢して溜め込むのも良くありません。いつも怒りを内に溜め込んでいる人は血圧が高く、心臓疾患やガンなど、様々な病気につながりやすいそうです。

「怒る」ことのメリット

カーネギーメロン大学の研究によると、人間は強いストレスを感じる状況にあるとき、適度に怒りを発散することで、自分を上手くコントロールし、将来に対して楽観的になることができると言われています。これは、怒りをはっきりと表に出すことで、困難な状況に打ち勝つための力や自信を自覚できるからだそうです。

また、悔しさに近い「怒り」は、さらなる高みを目指すエネルギーにもなり、パフォーマスの向上につなげることもできます。

大切なのは「怒る・怒らない」の判断基準と怒り方

怒りは「二次感情」であると言われています。「辛い」「苦しい」「悲しい」「虚しい」などの一次感情が大きくなることによって、二次感情である「怒り」が起こります。二次感情ですので自分の反応は選べるということです。

我慢して怒らないようにするのではなく、「理不尽かどうか」「信頼関係を裏切られたかどうか」など、自分が怒る基準を決めておき、怒るときは怒っていいと思います。私は「相手へのリスペクトが欠けている」行動や言動に対しては怒るようにしています。そうすることで周りにも、「蓮井は相手へのリスペクトが欠ける行動や言動に対しては怒る人」と認識されるので、私の前ではそのような行動や言動を控えるようになっています。

ただし、相手に対して怒る際には、感情をむき出しにせず、丁寧な言葉で伝えましょう。語気が強まるのは仕方ないですが、私は「目的は何ですか?」「それって〇〇ってことになりませんか?」と質問することや、何に対して怒っているのかを具体的に説明することを心掛けています。なかなか難しいですが、相手の話をしっかり聞くことで、自分も冷静になり、怒る準備を整えられるのではと思います。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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