「仕事が楽しい」に変わる6つのステップ

「仕事が楽しい」と感じられない6つの理由

とはいえ、仕事の価値観を「楽しい」に変えるのは、なかなか難しいことなのかもしれません。なぜなら、仕事に「楽しい」という価値観を付けた瞬間に、たくさんの人が「仕事はそんなに甘いもんじゃない」のような拒否反応を抱くからです。

例えば、「おいしい食事とおいしくない食事、どっちを選ぶ?」と言われたら、「おいしくない食事」を選ぶ人はいないでしょう。「楽しい旅行と楽しくない旅行、どっちを選ぶ?と言われたら、「楽しい旅行」の方がいいに決まっていますよね。けれども、「楽しい仕事と楽しくない仕事、どっちを選ぶ?」と言われたら、「そりゃあ楽しいほうがいいけど、でも……」のように、意識は厳しさに向いてしまう人がほとんどでしょう。

実際、筆者が講演などで「仕事を楽しくしたい」というと怪訝な顔をされることがありますし、直接、「仕事が楽しいわけがないだろう」と言われたこともあります。講演担当者から、「スライドの“楽しい”という文字を削除してください」と依頼されたこともあります。

つまり、多くの人にとって、仕事は「厳しいもの」であって、「楽しくてはいけない」のです。

なぜ、「仕事が楽しい」といえないのでしょうか。その理由を考えてみました。

「仕事は楽しいものじゃない」という前提がある

多くの日本人には、仕事は「大変だ(=楽しいものじゃない)」という、無意識の前提があります。

例えば、子供たちに対して多くの親や先生は、「お父さん(または、お母さん)が頑張って働いてくれるから欲しいものが買えるんだよ。感謝しなさい」「農家の人が汗水流して作ったお米を残してはいけません」のように言います。これらの言葉の背景には、仕事は「大変だ」「苦労が多い」という前提があります。

大人になってからもそうです。テレビやラジオなどのメディア、インターネットの多くの記事も、仕事は「大変」ですし、上司や同僚の言葉も「そんなに甘くない」です。

このように、普段見聞きする仕事に対する情報の多くは、「大変」「つらい」「苦しい」「楽しくない」です。

私たちの体が、これまで食べたものと飲んだものでできているように、私たちの物事の捉え方は、これまで触れてきた情報によってできています。これまで触れてきた情報の多くが、「仕事は楽しいものじゃない」ならば、それが前提の価値観になってしまうのも、仕方のないことなのかもしれません。

「楽しさ」と「楽」の意味を読み違えている

「仕事が楽しい」という言葉に拒否反応を示す人の中には、「楽しさ」と「楽」の意味を読み間違えている人もいます。そのため、「楽しい」=「楽をすること」だと感じるようです。「楽をするのはケシカラン!」という思い込みが、仕事によって得られる楽しさに、目を向けにくくさせているのです。

「厳しさが善」だと思っている

仕事に楽しさを見出せない人の中には、「厳しさが善」だと思っている人もいます。

例えば、苦労話が好きな人がそうです。「私が若いころは○○だった。だから、あなたも□□しなさい」という言葉の背景には、「厳しさが善」という価値観があります。大変だったことを自慢する人もいます。

また、ときどきテレビで放映されるスポーツ選手や成功者の体験談の多くも、「大変な苦労の末」や、「ご家族の献身的なサポートがあって」のように編集されていることがほとんどです。

「仕事が楽しい」ということが許せないのです。

大切なものはどちらか一方しか手に入らないと思っている

仕事の楽しさを知っている人は、「楽しく働いた結果、お金が手に入る」ことを知っています。楽しく働けば仕事に熱が入り、一生懸命取り組みます。また、楽しいと自然と笑顔になります。すると、お客さまから喜ばれます。その結果、お金が入ってくるのです。

一方、「金銭的、物質的に豊かになる。その代償として労働がある」と思っている人は、「お金と楽しさは両立しない。どちらか一方しか手に入らない」と思っています。そのため、お金を手に入れるために楽しさを犠牲にしたり、楽しさを手に入れるためにはお金を犠牲にしたりしています。

仕事の楽しさをあきらめている

周囲から、仕事は「大変」「つらい」「厳しい」「楽しくない」と言われ続けた結果、「そもそも仕事は楽しくないものだ」という価値観が固定観念になってしまい、仕事に楽しさを求めることをあきらめてしまう人もいます。

そのため、「楽しさはプライベートで、仕事は、生活のために」のように、プライベートと仕事をはっきりと分けることで、精神的なバランスを保とうとするのです。

今まで仕事で楽しさを感じたことがない

今、働いている職場が、「大変」「つらい」「苦しい」「楽しくない」環境のために、仕事で楽しさを感じたことがない人もいます。「楽しい」という感覚を味わったことがないので、それがどのような感覚なのか分からないのです。

だからといって、一度入った会社をそう簡単に辞めるわけにもいきません。責任感が強い人ほど陥りやすい状況です。

近くで楽しそうに働いている人がいない

近くで楽しそうに働いている人がいないのも、仕事が楽しいと感じられない大きな原因の1つです。

たとえば、周りに「仕事が楽しくない」という人ばかりだったら、「やっぱり、みんな同じなんだ」と思い、自分の意志で「楽しく働きたい」という気持ちは育ちにくいでしょう。

一方、「最近ちょっといい感じなんだよね」と、楽しそうに、うれしそうに働いている人が近くにいたら、自然と「自分も楽しく働けたらいいな」と思うでしょう、

「仕事が楽しい」と感じられないと起きる5つの弊害

「仕事が楽しい」と感じられないと、次のような弊害が起こります。

楽しさを感じにくい体質になる

「そもそも仕事とは楽しくないものだ」という意識状態が続くと、楽しさが感じにくい体質になります。意識は思考を生み、思考は感情を生むため、仮に「楽しい」と感じてもいいようなことがあっても、楽しいと感じにくくなるのです。

「楽しくない」の無限ループに入ってしまう

楽しさが感じにくい体質になると、日ごろの仕事が楽しく感じられないので、つい「どうせ」とか、「何をやっても無駄」という気持ちを抱くようになります。不平や不満、愚痴が多くなり、発言がネガティブになります。その結果、あきらめ癖がつき、何に対しても行動的になれません。行動を起こさないと変化も起きないので、永遠に楽しくなれません。

さらには、「やっぱり仕事は楽しくないものだ」と、仕事に対する価値観をネガティブなものに自身で強化してしまいます。そして、ますます仕事が楽しく感じられなくなり、「楽しくない」の無限ループ」に入ってしまうのです。

以前、ITmediaエンタープライズに寄稿した、やる気が出ない本当の理由という記事で紹介した、「やる気が出ない無限ループ」のようなイメージです。

自身の可能性が信じられなくなる

自信や可能性を高めるうえで、小さな成功体験はとても大切です。小さな成功体験が自己肯定感を高めてくれます。

一方、仕事が楽しくないと自発的な行動が起きないので、小さな成功体験を積みにくくなります。その結果、「私にはできる」という自己肯定感が低くなり、自身の可能性が信じられなくなってしまいます。

新しいアイデアが思いつかない

仕事が楽しいと、「そうだ!これを○○にしてみよう」のような、新しいアイデアやひらめきが沸き起こるものです。困難な状況でも、「どうしたらこれが解決できるだろう?」のように、新たな解決策に思考を巡らします。

けれども、「仕事は楽しくないものだ」という思い込みは、物事をさまざまな角度から見る柔軟性を奪ってしまうため、新しいアイデアやひらめきが起こりにくくなります。そのため、新しい変化が起きず、ますます仕事が楽しくなくなります。

つまらない毎日、つまらない人生

標準的な人が仕事をしている時間は1日約8時間。往復の通勤時間や残業時間を入れれば、私たちは1日の大半を仕事に費やしています。その他の時間は、食事や入浴、睡眠など、「生きるために必要な時間」だと考えると、仕事は「人生そのもの」と言っていいでしょう。

仕事が楽しければ人生は楽しいし、仕事がつまらなければ人生はつまらなくなります。

次ページ:仕事を楽しくするたった1つのポイント

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著者

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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