連載『「ハコモノ人事」の終焉 ―― 制度の前に「会話」を変えよう』がはじまります

しごとのみらいのホームページをご覧いただいているみなさまへ。

こんにちは、しごとのみらいの竹内義晴です。

今日は、どうしてもみなさんにお伝えしたいことがあり、少し高揚した気持ちでキーボードを叩いています。

本日より、新たな連載をスタートします。

タイトルは、『「ハコモノ人事」の終焉 ―― 制度の前に「会話」を変えよう』。

いま、世の中の変化の速度がとても速いですよね。そんななかで、多くの人事のみなさんが「この時代の変化に対応しないと!」と、さまざまな制度づくりに関わっていらっしゃると思います。しかし、その制度は本当に機能しているでしょうか。いくら制度を作っても、変わっている感じがしない。その結果、孤独な戦いを強いられている方もいらっしゃるかもしれません。

いま、この時代に本当に必要なのは、制度ではないのかもしれない。それよりも「血の通った対話」なのかもしれない。これからの組織に本当に必要な「対話」のあり方を、私の全経験を注ぎ込んで、一冊の本を書き上げるつもりで綴っていこうと思っています。

なぜ、ハコ(制度)を作っても社内が冷え切ったままなのか?

「働き方改革」「人的資本経営」「1on1」……。 人事領域では、これまでさまざまな取り組みや流行り言葉が溢れています。 しかし、立派な「ハコ(制度)」をいくら作っても、社内が変わった感じがしない。冷え切ったままなのはなぜでしょうか?

それはまるで、多額の予算をかけて立派な公共施設を作ったものの、誰も来なくて寂しい「ハコモノ行政」のようです。

コンクリートのように冷たい組織を、心が通ったあたたかい組織へ変える。 いま必要なのは、制度の増築(アプリの追加)ではなく、血流を通すための「OS(対話)」の入れ替えなのではないでしょうか。

孤独な「管理人」から、組織を再生させる「パートナー」へ

「また、そんなことやるの?」「どうせ意味ないでしょ」と現場から煙たがられ、経営層からは「これからは〇〇の時代だ!」と、どこかで聞きかじってきたよくわからない流行り言葉を投げかけられ、それに対して「数値目標はどうなっているんだ」と詰められる。そんなサンドイッチ状態の孤独な日々は、もう終わりにしましょう。

現場から「人事のみなさん、ありがとう!」と言われ、社員が変わる瞬間に立ち会える。管理する側ではなく、組織を再生させる「パートナー」としての誇りを取り戻す。 そこから、職場に血が通いはじめ、温度が変わり始めるのです。

新潟の「人口減少の最前線」で感じる、日本の企業の危機

私は人事の専門家ではありませんし、制度設計のプロでもありません。 でも、15年間にわたり、数百の企業における組織づくりやコミュニケーションの研修や講演に携わってきました。だからこそ、制度の隙間で泣いている人事のみなさんの「現場の声」を数多く伺ってきました。

そして何より、私は新潟の中山間地、つまり日本における「人口減少の最前線」に住んでいます。 集落の灯りが一つ、また一つと消えていく光景を目の当たりにしているいま、私が経験しているのは、まさに「人が減少していくことによって起こる現実」です。「日本の縮図」であり、「待ったなし」の現実です。

こうした状況は、いずれあなたの会社に訪れるかもしれない。「日本の企業は、本当に今のままでいいのか」という危機感を、肌身で感じている一人の人間です。

「うちはまだ大丈夫」という茹でガエルの平穏を突き破る

ぼんやりと「いまのままで大丈夫だろうか?」と課題感を抱きながらも、実際に行動に移すのは難しいものです。「まぁ、まだ大丈夫だろう……」と思ってしまうのも、しかたのないことなのかもしれません。

けれども、「まだ大丈夫だろう」思っている間に、社会はどんどん変わっていってしまいます。

たとえば、最近の話題の一つに「初任給40万円時代」があります。若手の採用が難しいいま、初任給を上げることで、なんとか若手の興味関心を引きたい。その気持ち、とてもよくわかります。でも、これからも、採用にだけ投資し続ければ、人材は確保できるのでしょうか?

若手は入ってこない。シニアはやる気がない。「若手はリソース、シニアはコスト」と割り切る矛盾に、いつまで目をつむっていればいいのか……。社員の「本当の気持ち」を理解せぬまま、給与だけに意識を向けていれば、会社はいずれ、誰もいなくて温度感のない、立派な「冷たいコンクリートのハコ」になってしまいます。

真の敵は「制度さえ整えれば人は動く」という思い込み

ただ……安心してください。悪いのはあなたではありません。問題なのは「給与を上げれば採用できる」「制度さえ作れば人は動く」という、これまでの温度感のない施策や、そうせざるを得なかった思い込みの呪縛です。「制度を作れば解決する」という古い設計思想、それ自体が本当の敵です。

「足し算の制度設計」から、「引き算と循環の対話」へ。 若手には「マインドセット」と「対話」による未来への安心を、中堅には「対話の型」を、シニアには対話によって得られた「強みの再認識」による誇りを。制度という重いアプリを消去し、それぞれの層に血流を流す具体的なメソッド、身軽で温かいOSへと書き換える具体的な処方箋を、この連載で公開していきます。

コミュニケーションは「才能」ではなく「スキル」である

これからの組織に本当に必要な「血の通った対話」ができるようにしていくためには、若手・中堅・シニア、それぞれに対する関わり方を、コミュニケーションのやり方を、ほんの少しだけ変えていく必要があります。

「コミュニケーション」というと、難しく感じられる方も多いと思います。でも、安心してください。コミュニケーション能力は、先天的な「才能」ではありません。後から身に着けることができる「スキル」です。 1on1を「苦行」だと思っていた管理職が、たった一つの問いで部下の本音に触れ、目に光が戻る。その瞬間に立ち会うたびに、私は何度も心が震えてきました。

そんな、組織を再生させる「パートナー」となるための具体的なメソッドを、あなたと一緒に実践していきたいと思っています。

なお、この記事は連載です。各回お話するちょっとした「小さなアクション」を、ぜひ実践してみてください。 その小さな一歩が、あなたにとっても、組織にとっても「新たな未来」の始まりです。

次回予告: はじめに

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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