対面と電話、どちらがいい?―効果的なコーチングの受け方と準備

コーチングは、あなたの理想を実現するために、あるいは、問題を解決するために、「本当は何をしたいのか」「本当はどうありたいのか」といった理想を改めて明確にし、「今」と「理想」のギャップを埋めるために「何が必要なのか」を一緒に考えながら、行動を支援するパートナーシップです。

コーチングには「直接会って話す方法」と「オンラインや電話で話す方法」がありますが、それぞれにはどんな特徴があるのでしょうか。

そこで、この記事では「効果的なコーチングの受け方と準備」についてお話します。

コーチング2つの受け方

繰り返しになりますが、コーチングの受け方には、大きく分けると2つの方法があります。

直接会って(対面で)話す

直接会ってコーチと話す受け方です。会社の会議室やコーチが指定する場所、ホテルのラウンジやカフェなどで受けるのが一般的です。コーチと直接会って話すため、コーチの表情や雰囲気を感じながら受けることで、安心感や信頼感を得ることができます。

対面で話す場合、用意するものは特にありません。

オンラインで話す

オンラインツールや電話を使ってコーチと話す受け方です。オンラインで受ける場合、場所や時間の制約がありません。会社の会議室や自宅をはじめ、国境を越えてコーチングを受ける人もいます。

以前は、電話で行うのが一般的でしたが、近年はインターネット技術が進化し、無料で使えるオンラインツールが増えてきました。スマートフォンやタブレットでもはじめることができます。

対面とオンライン、どちらがいい?

友達と話すとき、電話よりも直接会ったほうが、表情が分かり親近感がわくように、コーチングを受ける際も、「せっかくなら直接会って話したい」という方も少なくありません。

一方、対面とオンラインでは、それぞれに特徴があるようです。

コーチング研究所が2013年に発表した、コーチングの効果に関する分析結果によれば、電話と対面のコーチングには違いがあるとしています。いくつかの調査項目で電話と対面での方法を比較したところ、

電話でのコーチングは対面に比べて、指示やアドバイスをしておらず、気づいたことをフィードバックしていることが分かりました。一方、対面のコーチングは、電話に比べると書籍や情報提供をしていました。

出典:コーチングの効果を最大化するコーチの行動・構造とは何か? | コーチング研究所

としています。一言で言えば、対面のほうがコーチが「指示やアドバイス、情報提供をしやすい」と言えます。

コーチングは一般的に、コーチの指示やアドバイスよりも、クライアントの内発的な気づきや発見を大切にします。そういう意味では、オンラインのほうが効果を得やすいと言えるでしょう。

9割のクライアントがオンラインを選んでいる

実際、しごとのみらいが行っているコーチングでは、9割の方がオンラインを選んでいます。実務経験から、その理由を挙げてみました。

場所と時間に制約がない

しごとのみらいの拠点は新潟県妙高市にありますが、オンラインツールを使うことで場所と時間に制約がありません。全国どこからでもコーチングを受けることができます。

セッションに集中できる

コーチと直接会う場合、話しやすいのはよいのですが、一対一になれる場所を選ばないと周りの音や視線が気になります。特に、悩みごとや、他の人には聞いてほしくないことを話す場合、周りの視線や存在が気になっては本音が話せません。

オンラインの場合は、一人になれる場所を選べば周囲が気になることはありません。

また、近年のオンラインツールは映像のやり取りもできますが、しごとのみらいでコーチングを行っている方の多くは映像を使っていません。「音声だけのほうがコーチの声に集中でき、思考を巡らせやすい」と言っています。

時間的な効率がいい

コーチと直接会う場合、移動に時間がかかります。また、コーチと会ってからも、「あいさつ」や「簡単な雑談」のほか、カフェで行う場合は飲みものの注文など、コーチングを始めるまでにそれなりの時間が掛かります。終わるときも目の前に人がいると、「終わりの時間なので、さようなら」とはいきません。

オンラインの場合は、時間になったら接続し、1分ほど簡単な挨拶をしたのち、すぐコーチングをはじめることができます。また、終わるときは対面で話しているときよりも区切りやすいため、時間的な効率がいいです。

程よい距離感がある

コーチと直接会う場合、コーチと面と向かって話すため距離感が近いです。「信頼感」や「安心感」という意味ではよいのかもしれませんが、過剰に頼ってしまい、アドバイスを求めたり、依存的にもなりがちです。

オンラインの場合は、物理的に離れているため程よい距離感があります。コーチも感情移入しにくく、フラットで客観的な状態で関わりやすいため、コーチングの効果も期待できます。特に、ビジネスコーチングでは重要な視点です。

お金を節約できる

コーチと直接会う場合、移動にお金がかかります。また、カフェで行う場合はコーヒー代等も必要になります。

オンラインの場合は、移動にお金は掛かりません。飲み物は特別なくてもいいですし、用意したければ身近にあるものでOKです。

リラックスできる環境で受けられる

コーチと直接会う場合、コーチと会う場所や身なりにもそれなりに気を使うものです。

オンラインの場合は、自宅など、普段のリラックスした環境で受けることができます。映像を使わなければ、身なりを気にする必要もありません。

オンラインでコーチングを行う際に準備するもの

ひと昔前のオンラインコーチングは電話で行っていました。遠距離で1時間話す場合、それなりのコストが掛かりました。

一方、近年はスカイプやGoogleハングアウト、Facebookメッセンジャー、zoom、appearなど、無料で使えるツールが増えてきました。その多くはスマートフォンやタブレットで使用することができ、アプリをインストーすればすぐに始めることができます。カメラやマイクを用意することもありません。どのツールを使うかはコーチと調整します。

スムーズなコーチングを行いたい場合には、パソコンとヘッドセットを使ったほうが聞き取りやすい音量に調節しやすく、言葉もはっきりと伝えることができます。

コーチングの目的に合った方法を選ぶ

「効果的なコーチングの受け方と準備」についてお話ししてきました。

対面か、オンラインかについては「好みの問題」とも言えます。

しかし、コーチング研究所の調査では、対面でないほうが指示やアドバイスをせず、気づいたことをフィードバックしていることが分かっています。また、実務経験上でも、オンラインのほうが程よい距離感があり、コーチングの効果を得やすいと感じています。

「コーチングに求めるものは何か?」を明確にしたうえで、あなたに合った方法を選んでください。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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