イラッとした「怒りの感情」をコントロールする

上司との関係、同僚との関係、部下との関係、顧客との関係……ビジネスシーンは人間関係のかたまりです。

いつもいい関係が築けていればいいのですが、時には、上司の理不尽は発言にイラッとしたり、同僚の無茶ぶりにムカついたり、部下の突飛な行動に怒りが沸いてくることもあるかもしれません。

ネガティブな感情はずっと引っ張られてしまうので、できれは早く切り替えたいもの。けれども、口で言うのは簡単ですが、なかなか上手くいかないものです。

そこで、怒りの感情について、上手な付き合い方についてまとめてみました。

怒りの感情が出ることを許す

感情コントロールの最初のステップとしてもっとも有効なのは、「怒りの感情が出ることを許す」ことだと考えています。なぜなら、怒りの感情は突発的に出てくるものなので、意識の力でコントロールすることが難しいからです。

心理学者のダニエル・ゴールマンは、著書「EQ こころの知能指数」の中で次のように言っています。

『脳の構造からいって、情動が生起するタイミングや内容をコントロールすることはほとんど不可能だ。ただし、情動の持続時間はコントロールできる』

言い換えれば、怒りの感情が湧き起こるタイミングや内容はコントロールできないということです。これは、あなたもご経験があるのではないでしょうか。

怒りの感情はあまり気持ちがいいものではないので、「怒りを抑えよう」と、無理にコントロールしようとしがちです。けれども、怒りを抑えようとすればするほど、ますます怒りの感情が出てきてしまいます。

そこで、最初のステップとしては、「怒りの感情が出るのは仕方のないことだ」と、感情が出ることを許すことからはじめましょう。

感情の背景にある「肯定的な価値観」を考える

ダニエル・ゴールマンが言うように、情動の持続時間はコントロールできます。その一つに、「肯定的な価値観を考える」があります。

怒りの感情は一般的に「悪いものだ」と考えられていますが、一概に悪いものではないことをご存じですか?なぜなら、怒りは、私たちの中にある「肯定的な価値観」が抱かせるものだからです。

「肯定的な価値観」とは、「私にとって大切なことは○○だ」のようなことです。

たとえば、汚れている部屋を見たときにイラッとするのは、その背景には、「部屋はきれいなほうが気持ちがいい」という肯定的な価値観があるからです(もし、このような価値観がなければ、感情は起きようがありません)。しかし、目の前の現実がそうなってはいない。だから、イラッとするのです。

そこで、怒りの感情が沸いたときは、自分の中にある「肯定的な価値観」を探すようにします。次の質問をご自身に問いかけてみてください。

「何が私に、この感情を抱かせるのだろう?」
「私にとって、大切なことは何だろう?」

どんな感情にも、その背景には肯定的な価値観が必ずあります。「そうそう、大切なのは○○だよな」ということに気づくことで気持ちは和らぎます。

一方、その答えが、「○○すべき」「○○ねばならない」のような強いものである場合、柔軟な思考を妨げたり、正しいと信じていることを周囲の人に押し付けてしまうことになりがちです(人それぞれ、正しさがあります)。「この価値観は本当に必要か?」「すべてそうか?」など、改めて考えてみるといいでしょう。

この方法については、拙著「イラッとしたときのあたまとこころの整理術―仕事に負けない自分の作り方」にも掲載しています。良かったら読んでみてください。

収まりが悪い場合は「外に出す」

それでも、怒りの収まりが悪いことはよくあるものです。その場合は、「外に出す」ことが効果的です。だからといって、「当たり散らせばいい」ということでは、もちろんありません。

車の中やカラオケボックスなど、人の迷惑にならないようなところに行って、怒りや不満を、気が済むまで大きな声で叫びます。どんな汚い言葉を使ってもかまいません(本音を言葉にするためにも、誰にも聞かれない場所を選んでください)。

普段、大声で叫ぶことはあまりありませんが、大声で叫ぶとことのほかスッキリできます。

身体から整える

もし、気持ちがどうしても収まらないときは、身体から整えるのもいい方法です。身体を動かして軽く汗を流したり、おいしいものを食べたりして、身体面から整えるようにするといいでしょう。

「無心になる」ことをするのも、意外と効果的です。筆者の場合、ひたすら草むしりをしたり、料理をしたりすると気持ちが落ち着くこともあります。

まとめ

怒りの感情は、あまり気持ちがいいものではないので、できれば抱きたくないものです。だからといって、一概の悪いもの……というわけではありません。どんな感情にも、その背景には必ず「肯定的な価値観」があります。つまり、怒りの感情は、あなたにとって本当に大切なことに気づくためのアラームシステムなのです。

感情を無理に抑え込もうとせずに、「何を教えてくれようとしているんだろう」……このような、受け入れる姿勢になると、怒りの感情とも付き合いやすくなるでしょう。

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著者

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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