社会人に必須の能力「論理的思考」3つの種類

「社会人にとって論理的思考(ロジカルシンキング)能力は必須である」――こんな言葉をどこかで見たり、聞いたりしたことはありませんか?

物事をわかりやすく伝えたり、考えたりする上で、論理的思考は社会人にとってとても大切な思考能力です。

また、論理的思考能力が身につくと、物事を広い視野で、多面的に、客観的に捉えられるようになるため、思考の幅と質がよくなります。

一方、論理的思考の意味はなんとなくわかるけれど、具体的にはどのような能力なのでしょうか。どのようにすれば論理的に考えられるのでしょうか。

筆者は、社会人になってからエンジニアとして、プログラマーとして、論理的な思考をする世界で働いてきました。また、現在はコミュニケーションの講師や、コーチング・カウンセリングなどを行っていますが、講師は、物事を論理的に、筋道を立てて話す必要がありますし、コーチングやカウンセリングも、その都度接し方が違うように見えて、筋道を立てた会話の組み立て方は非常に重要だと感じています。

難しく思える論理的思考も、そのパターンはたった3つしかありません。可視化すれば、「考える」が楽しくなります。そこで、論理的思考の種類と方向性、役割、考え方についてまとめます。

論理的思考とは?

まず、「論理」とは何かを調べてみました。辞書によれば……

1 考えや議論などを進めていく筋道。思考や論証の組み立て。思考の妥当性が保証される法則や形式。「―に飛躍がある」
2 事物の間にある法則的な連関。
3 「論理学」の略。

出典:論理 | goo辞書

つまり、論理的思考とは、「物事の筋道を立てて考える」こと。論理的思考能力とは、その能力のことと定義しておきましょう。

論理的思考の種類

論理的思考には、大きく分けると3つの種類があります。

まとめる

「まとめる」とは、いくつかの物事の共通点を一つにまとめることです。

分解する

「分解する」とは、一つの物事を細かく具体的にすることです。

横にずらす

「横にずらす」とは、異なった別の視点にずらすことです。

論理的思考のイメージと方向性

これら3つの種類は、三角形の図で可視化するとわかりやすいです。

「物事の“筋道”を立てて考える」とは、それぞれの物事と物事が「筋道」でつながっているわけですね。

論理的思考の役割

論理的思考の3つの種類には、それぞれ役割があります。

まとめる

物事の共通点をまとめることによって、物事の本質(本当に大切なこと)を見出します

分解する

物事を細かく、具体的に、詳細に分解することによって、物事のイメージをわかりやすくします

横にずらす

異なった視点にずらすことによって、物事の選択肢を増やし、新しいアイデアを生み出します

論理的思考に使う「問い」

「昨日の夕食、何食べた?」と質問されると、物事を考え始めるように、「思考」のきっかけとなるのが「問い」です。論理的思考は、それぞれの種類によって問いが異なります。「問い」の形にすると、それぞれの種類の意味がわかりやすくなるかもしれません。

まとめる

  • つまり……
  • 要するに……
  • 一言で言うと……
  • そもそも……
  • なぜなら……
  • それによって、どうなる?
  • それによって、何が得られる/失う?
  • その意味は?/目的は?/価値は?

このように、「まとめる」とは、視点を、ある物事の「上」や「裏」、「背景」にずらして、物事の本来の目的や意味、価値を引き出すことです。

この、「まとめる」ことを、「抽象的思考」とも言います。抽象的思考については、具体的思考とは?抽象的思考とは?も合わせてご覧ください。

分解する

  • いつ?どこで?誰が?何を?どのように?
  • 何が見えて(どんなシーンで)?、何が聞こえて?、何を感じた?
  • 例えば?具体的には?

このように、「分解する」とは、視点を、ある物事を細かく分解して具体的にし、拡げていきながら、物事のイメージを明確にすることです。

この、「分解する」ことを、「具体的思考」とも言います。具体的思考については、具体的思考とは?抽象的思考とは?も合わせてご覧ください。

横にずらす

  • 他には?

このように、「横にずらす」とは、視点を、ある物事の「横」にずらして、選択肢を拡げることです。

この、「横にずらす」ことを、「水平思考」とも言います。

論理的思考の具体例

たとえば、「論理的思考能力を身につける」をテーマに、論理的思考をしてみると、次のようになります。

まとめる

「まとめる(抽象的思考)」では、「それによって、どうなる?」を繰り返し考えました。すると、「論理的思考能力を身につける」には、「ビジネスパーソンとして信頼される」という、本来の目的があることがわかりました。

分解する

「分解する(具体的思考)」では、「論理的思考能力とは?」「例えば?」「何を?」「どのように?」など、具体的にするように考えました。「論理的思考能力を身につける」が細かく分解され、何をどのようにするのかが明確になりました。

横にずらす

「まとめる」「分解する」を考える際、「横にずらす(水平思考)」も使いました。「他には?と考えることで、いろんな選択肢が出てきて、「まとめる」「分解する」を多面的に考えることができました。

まとめ

論理的思考の種類と方向性、役割、考え方についてまとめました。

「思考する」「考える」というと、直感を頼りに、何もないところから答えを見出すような、とても難しいことのように感じられるかもしれません。

論理的思考は、「筋道を立てて考える」という言葉が言い表しているように、「すでにあるけれども、明確になっていない」ことを、「これの次は、これ」「これの次は、これ」のように、まるで、つながっているヒモをたどっていくかのように考えていく方法です。自然と答えが見出せる思考方法なので、慣れるととても便利で、考えるのが楽しくなる思考能力なのです。

論理的思考は、後から身につけられる能力です。論理的思考のトレーニングには、思考を可視化しながら考えられるトライアングルコミュニケーションモデル(TCM)を使うと便利です。

あなたの「考える」が、より豊かで、楽しくなりますように。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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