私がNLP心理学を学んだ理由と良かったこと悩んだこと

NLPとは、Neuro Linguistic Programming(神経言語プログラミング)の頭文字を綴ったもので、簡単にいうと、コミュニケーション心理学の一種です。もともとはクライアントに変化をもたらす優れた3人のセラピストのコミュニケーション方法を分析、体系化したもので、現在ではセラピーの枠を超えて、スポーツや教育、ビジネスなど、幅広い分野で活用されています(ちなみに、私がNLPを学んだのはこちらです)。

NLP心理学の講座は高額です。「受講をしたい」と思ってはいても、ちゅうちょしてしまうのは当然のことです。「他の講座の方がいいかな」とも、思っているかもしれません。

そこで、この記事では、筆者がNLP心理学を学んだ理由、実践する中で起こった変化、学んで良かったこと/悩んだことを紹介します。あなたが「何を学ぶべきか」を決める、一つの判断材料にしていただければ幸いです。

筆者が心理学NLPを学ばなければならなかった理由

まず、筆者がNLPを学ばなければならなかった理由についてお話しします。ひょっとしたら「学ばなければならなかった」という言葉に、興味を抱いた人もいるかもしれません。

筆者がNLPを学んだのは「学びたかった」からではありません。「学ばなければならなかった」からです。その理由をひと言でいえば、「仕事の人間関係やストレスで、人生が行き詰っていた」から。「人生が」なんていうと大げさに聞こえるかもしれませんが、これまでの人生を振り返ってみても、人生最悪の「行き詰まり期」を過ごしていました。

当時、筆者はコンピューターのプログラマーでした。エンジニアの仕事が大好きで、生涯エンジニアとして働きたいと思っていました。そこで、「もっと技術力を身に着けたい」と転職しました。

しかし、転職先は精神的にも、肉体的にも、ストレスの多い職場でした。スタッフを追い込んで仕事をさせるタイプの管理職。ギスギスとした人間関係。多い残業……会社に行きたくない日々が続いていました(詳しい状況は、拙著『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』のまえがきに記しています。出版社のサイトでお読みいただけます)。

仕事が楽しいと感じていたときは、残業もそれほど苦ではなかったのに、ストレスが多いと、どんなに好きな仕事でもイヤになってしまうものですね。次第に、精神的・肉体的に不調をきたすようになり、自身を上手くコントロールできなくなっていきました。

また、翌年には管理職を任されました。自身さえ上手くコントロールできないのに、スタッフをまとめることなどできそうにありません。

「もう、こんな思いをするのはコリゴリだ」と思いました。けれども、子どもが生まれたばかりです。逃げ出すわけにもいきません。「こういう環境では、スタッフはやる気を失ってしまう。せっかくなら、スタッフには前向きに、楽しく働いてほしい。けれども、その方法が分からない。どうすればいいのだろう?」

そして、いろんな本を読んだり、インターネットで検索したりしているうちに、「どうやら、コミュニケーションを改善するといいらしい」ということが分かってきました。そこで見つけたのがNLPです。2006年のことです。

学んだことを実践する中で起こった変化

NLPのコースは2種類あり、それぞれ10日間のコースでした(ちなみに、私が学んだのはこちらです)。「知識を身に着ける」というよりも、教わったことを受講者同士で練習しながら、体験を通じて学ぶプログラムでした。実践型のトレーニングだったので、身についていく実感が得られました。

学んだことは職場でも実践しました。失敗したこと、上手くいかなかったことなどたくさんありましたが、実践すればするほど、職場の仲間との関係が、自身が変わっていくことが肌身として感じることができました。

具体的には、次のような変化がありました。

職場での変化

職場では、次のような変化がありました。

  • 表情や声のトーンから、スタッフの状況が分かるようになった。ストレスを抱えているスタッフには声を掛けて話を聞くことで、メンタル的に不調だったスタッフをいい状態にリードできた。
  • スタッフとコミュニケーションをとる時間を定期的に設け、意識的に傾聴するようにした。スタッフの考えや本心を知ることができ、お互いの信頼関係が増した。
  • スタッフが言葉にできていない本心を引き出せるようになった。
  • 「これって、どうすればもっとよくなると思う?」のように意識的に問いかけることで、スタッフ自身が、自分の頭で考えるようにリードできるようになった。
  • 自発的なスタッフが増えた。自主的に勉強会を開催する人が現れた。
  • 顧客から評価されるようになった。「竹内さんの会社のおかげで、うちの業務が回っている」と言われた。
  • チーム全体が明るく前向きになった。笑顔が増えた。

自分の変化

自分には、次のような変化がありました。

  • ネガティブな状況にポジティブな意味づけができるようになった。また、スタッフに対して、前向きな言葉をかけるようにしていたため、前向きな思考習慣が身に付いた。
  • 思考や感情のコントロールができるようになった。気持ちの切り替えが早くなった。
  • チームを上手くまとめることができた。
  • 苦しい状況を乗り越えられ、自信が付いた。「どんな困難な状況でも、自分から動いていけば変えられるんだ」と思った。

もともと、コミュニケーションはあまり得意な方ではありませんでした。けれども、NLPを学び、チームをまとめていく中で、人が成長していく姿やチームが変化してく姿に喜びを感じるようになりました。ふと気付けば、ストレスばかりで嫌で嫌で仕方がなかった仕事に、楽しさを感じるようになっていました。そこで、プログラマーから人材育成に関わる仕事に転向。現在に至っています。

心理学NLPを学んで良かったこと、悩んだこと

NLPを学ぶ中で、良かったこと、悩んだことがありました。当事者としての本心を綴ります。

良かったこと

良かったと感じたことは本当にたくさんありました。

チームをまとめる力が付いた

コミュニケーション力を身に着けることで、チームをまとめる力がつきました。

コーチング力、カウンセリング力が付いた

職場では、スタッフの話を聞きながら、コーチングやカウンセリングを行っていました。また、プログラマーから人材育成の仕事をするようになり、ビジネスパーソンのコーチングやカウンセリングを行っていますが、状況に応じて臨機応変に対応できるようになったのは、NLPを学んだおかげです。

仕事が楽しくなった

ストレスばかりで行くのが嫌だった職場を変えることができ、仕事が楽しく感じられるようになりました。

自分との関わりが上手くなった

対人関係だけではなく、自分との関わりが上手くなりました。仕事をしていると、つらいことや大変なことがたくさんあります。けれども、「意識を変化させる能力」や「あらゆる状況の中から肯定的な価値を見出す能力」が身に付いたおかげで、ネガティブな思考や感情との関わりが、上手くできるようになりました。

逆境を乗り越える力が付いた

人生最悪の状況から立ち直れたのは、大きな自信になりました。逆境を自分で乗り越える力が付きました。

ビジネスの成果が出た

ビジネスの成果にもつながりました。筆者は新潟県・妙高高原という中山間地に住んでいますが、地方にいながらでも、本を数冊出版することができ、多くの方の前で講演させていただくようにもなれました。サラリーマン時代には想像もしていなかったことです。

悩んだこと

「良かったこと」の反対は、「悪かったこと」ですが、悪かったことを改めて考えてみると、それほどありません。けれども、悩んだことはありました。

受講代が高い

講座の受講代は高いと思いました(プラクティショナーコース、マスタープラクティショナーコースはそれぞれ30万円前後。トレーナーコースは80万円前後+アメリカへの渡航費)。

筆者が受講を決めることができたのは「現状を変えたかった(言い方を変えると、「もう、こんな環境に居続けるのは絶対に嫌だ」という気持ち)」のひと言に尽きます。また、尊敬していた経営コンサルタントがNLPを学んでいたことも、受講を決めた理由の大きな一つです。

学んでいた当時はとても高く感じましたが、今は十分元は取れました(笑)。

日常での生かし方が難しい

「日常での生かし方が難しい」ことにも悩みました。

NLPは、「信頼関係の作り方」「傾聴の仕方」「本音の引き出し方」など、コミュニケーションスキルとしてすぐに実践できる内容が豊富で、とても実用的でした。一方、一部の高度なスキルは、日常での生かすのが難しく感じました。

例えば、コミュニケーション心理学NLP―神経言語プログラミングでは講座のカリキュラムを紹介していますが、「催眠」のような高度なスキルは、日常生活で使うシーンはまずありません。

しかし、相手を直接的に「催眠」にかけることはなくても、そのプロセスの中で用いる信頼関係の築き方や、抵抗感を抱かせずに望ましい姿にリードしたりする言葉の使い方は、コーチングやカウンセリング、プレゼンテーションなどビジネスシーンだけではなく、日常でも大いに役立っています。今となっては「必要な学習だったんだな」と思います。

まとめ

ここまで、筆者がNLP心理学を学んだ理由、実践する中で起こった変化、学んで良かったこと/悩んだことをお話ししてきました。

NLPを学ぶ理由は人それぞれです。また、「絶対こうなれます」ということを保証するものでもありません。けれども、筆者がNLPを学ぶことによって得たものは、自身の体験としての事実であり、真実です。

あなたが「何を学ぶべきか」を決める、一つの判断材料にしていただければ幸いです。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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