「聞き上手度」が分かる10のチェックリスト

ビジネスシーンでは、「聞き上手」であることが大切ですよね。なぜなら、聞き上手は、相手との間に信頼関係を作るため、コミュニケーションがスムーズになるからです。

コミュニケーションがスムーズになると、相手が本音を話してくれるようになりますし、こちらの意見も受け取ってもらいやすくなります。同僚との人間関係で、マネジメントで、顧客との信頼関係構築で、「聞き上手」はコミュニケーションのベースと言ってもいいでしょう。

話の聞き方には、「相手の話を繰り返す」などのスキルがあります。話を聞く効果を最大化する2つの傾聴技法と6つのポイントも参考にしてください。

一方、傾聴のスキルに対して、「小手先のテクニックでは通用しない」という意見もあります。たとえば、「実は今日、イマイチ調子が悪いんですよ」という相手に、「なるほど、今日はイマイチ調子が悪いんですね」のように、機械的に、単調に繰り返すだけでは、相手に表面的な印象を抱かせてしまうでしょう。

では、スキルが必要ないのかというと、そうではありません。私がコミュニケーションのトレーニングを受けた、日本コミュニケーショントレーナー協会の椎名規夫さんからは、次のように教わりました。

やり方(スキル)だけを学んでも効果はあまりありません。だからといって、あり方だけでもうまくできません。コミュニケーションの成果はやり方とあり方の掛け算なのです。

つまり……

 コミュニケーションの成果 = やり方(スキル・テクニック) × あり方

ということです。

どんなにスキルやテクニックを磨いても、あり方がマイナスやゼロなら効果がない。逆に、どんなにあり方が優れていても、スキルがなければやっぱり効果がない。

そこで、「聞き上手」がやっている「やり方(スキル)」と、「あり方」の特徴を5つずつ洗い出してみました。合わせて10のチェックリスト。あなたが聞き上手か、チェックしてみてください。

聞き上手5つの「スキル」チェックリスト

適度な相づちやうなずきをしている

聞き上手の人は、「へぇ」「うん」「なるほど」「そうですね」のような相づちやうなずきが上手です。適度な相づちやうなずきは、相手に、「ちゃんと話を聞いてくれているな」「興味を持ってくれているな」という印象を与えます。また、相づちやうなずきがあると、会話にリズムが生まれますよね。

相手の表情や雰囲気、言葉づかいに合わせている

聞き上手な人は、相手の表情や雰囲気、言葉づかいに合わせて話を聞きます。なぜなら、これらを相手に合わせることで、話しやすい空気になるからです。たとえば、相手が楽しそうならこちらも楽しそうに、悲しそうなら悲しそうに、相手の表情に合わせます。もし、相手が悲しい表情なのにこちらが笑顔、相手が笑顔なのにこちらが暗い表情なら、調子が狂ってしまうでしょう。また、専門的な知識がない人に、専門用語を使ってしまうと、それだけで距離感を抱かせてしまいます。

相手が言いたいことを確認している

聞き上手な人は、相手が言いたいであろうことを要約し、「つまり、○○ということですよね?」のように確認しながら話を聞きます。相手が言いたいことを要約し、確認することによって、相手には「ちゃんと分かってくれているな」ということが伝わり、「分かり合う」感じになります。また、「つまり、○○ということですよね」のように確認されると、「そうなんですよ。それでね」のように、次の話を引き出す効果もあります。

ねぎらっている

聞き上手な人は、相手をねぎらうのが上手です。なぜなら、相手をねぎらうことで、「私の気持ちを分かろうとしてくれているんだな」「認めてくれているんだな」と感じ、心がふっと軽くなるからです。たとえば、「最近、残業続きで疲れている」という人には、「それだけ、一生懸命がんばってきたんだね」のように、相手の背景に思いをはせて、相手をねぎらいます。

相手の意識を前向きにしている

聞き上手な人は、ポジティブな言葉をかけて、相手の意識を前向きにするのが上手です。たとえば、「最近、残業続きで疲れている」という人には、「それだけ、一生懸命がんばってきたんだね」のようにねぎらった上で、「それがきっと、仕事の評価につながるんだね」のように、意識を前向きにリードします。こうすることで、相手は「このがんばりも無駄じゃなかった。よし、これからもがんばろう」のように、経験が未来につながっていることに気づくのです。

聞き上手5つの「あり方」チェックリスト

続いて、聞き上手な人の「あり方」の特徴です。

自分をいい状態に保っている

聞き上手な人は、常々、「ごきけん」であることを大切にしています。なぜなら、自分の状態が相手にも影響を与えるからです。また、自分がいい状態でないと、相手の話に落ち着いて耳を傾けることができませんよね。

相手が言いたいことは何か?に意識を傾けている(話の腰を折らない)

聞き上手な人は、自分のことよりも、「相手が言いたいことは何か?」だけに意識を傾けています。人は一般的に、相手のことよりも、「次は何を言おうかな」と、次に話すことを考えていたり、相手の話に共感できると、自分も話したくてウズウズしているものです。相手の話だけに意識を傾けることで、本当に意味での「傾聴」ができるのです。

「考えや価値観は人それぞれ」と思っている

聞き上手な人は、「考えや価値観は人それぞれ」と思っています。そこで、話を聞くときには、自分の意見は脇に置いて、「○○すべき」「○○ねばならない」といった判断や批判、批評、不要なアドバイスはしないように心がけています。もし、意見を言う必要がある場合は、相手の話を十分に聞いてからです。

自分と相手の間に適度な距離を保っている

聞き上手な人は、相手との間に適度な距離を保っています。なぜなら、強い共感は、相手の状態に引っ張られてしまうからです。たとえば、ネガティブな話を聞くと、気をつけないと、こちらもネガティブな気持ちになってしまいます。「相手の問題は相手が解決すべき問題」くらいの気持ちで接しています。

聞いた話を口外しない

聞き上手な人は、聞いた話を口外しません。安全、安心な関係があるからこそ、本音を話してくれるのです。

まとめ

「聞き上手」のやり方とあり方のポイントについてまとめました。

ここに挙げたリストは、会話のシーンによっては、若干異なる点もあるかもしれません。たとえば、顧客に商品を提案するシーンでは、「適度な距離」や「相手の問題は相手が解決すべき問題」というあり方に、やや違和感を抱かれるかもしれません。なぜなら、提案では「今、お困りのことは何ですか?」のように、顧客の悩みに寄り添い、話に耳を傾けた上で、最適な提案をしますからね。

一方、「話を聞く」に絞った場合、自分のことよりも相手に意識を向けて、「冷静に話を聞く」ことに集中すること。そういう意味では、これらのスキルやあり方が大切です。

もっとも、すべてできるようにするためには、相応の練習が必要だと思いますので、一つひとつ意識しながら、積み上げていきたいものですね。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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