人材不足が加速するいま「企業が注目すべき観点」とは?

しごとのみらいの竹内義晴です。

日本の人口減少は深刻さを増し、生産年齢人口の減少が止まりません。このままの状況が続くと、企業経営に大きな影を落としかねません。

しかし、人口を増やすことは難しく、若い世代の採用は今後も難しくなる一方です。

人材不足の問題を解決する糸口はどこにあるのでしょうか。本稿では、人材不足を根本的に解決するために企業が注目すべき「新たな観点」を提示します。

労働人口減少への危機感

総務省によれば2024年の日本の人口減少は90万人です。それに伴い、15歳から64歳までの生産年齢人口は減少しています。

この状況が続くと、人手不足になるのは明白です。リクルートワークス研究所の『未来予測2040』によれば、労働供給制約社会になると言われています。「しごとのみらい」の拠点は新潟にあります。地方は「社会の縮図」などと言いますが、人材不足問題は個人的にも強い課題認識を持っています。

これは、地方だけの課題ではありません。各企業において人材採用の課題は深刻です。新卒採用においても、近年は優秀な人材を採用するために、大企業をはじめとして初任給がうなぎ上りです。

しかし、現在の人口構造は逆ピラミッド型です。今後も若い世代はどんどん減り続けます。その結果、各企業で若い人材の奪い合いとなり泥試合となるのは明白です。つまり、若手の採用に限界があるのです。

ミドルシニア世代の活性化の難しさ

人材不足を補うためには、他の世代に着目する必要があります。労働力人口の中で最も人材が豊富なのは40代以降のミドルシニア層です。

ミドルシニア層は、これまでさまざまな経験を積んできており、知識も豊富です。適材適所で活性化することで、生産性の向上や業務改善につなげられるのではないかと考えていたのです。

しかし、企業の人事や関係者と議論するにつれ、ミドルシニア層の活性化は、難しい領域だと認識するようになりました。

その課題とは、ミドルシニア層が、これまで「役職を離れて退職に向かう年齢層」であったことです。そのため、企業としても投資対象になりにくく、「新たに教育する」という概念が今まであまりありませんでした。

加えて、働く側の意識としても、「もう十分やってきた」という認識になりやすい労働環境におかれていました。このような社会的な構造から、新たに何かを身につけよう、もっと活躍しようといったマインドにはなりづらかったのではないかと解釈しています。

カテゴライズしないことで見えてきた解決策

わたしの周囲のミドルシニア層を観察してみても、必ずしもやる気がある人達ばかりではありません。一方で、ミドルシニア層の中にも、「できれば、もう少し活躍したい」「いままでの経験を活かしたい」「周囲の人の役に立ちたい」と思っている人もいます。

そもそも、「いままでの経験を活かしたい」「周囲の人の役に立ちたい」と思っている人たちが活躍したいと願うとき、「ミドルシニア」というカテゴライズが必要なのか? 本来は、「年齢や性別に関係なく、一人ひとりの個性や強みを発揮できることのほうが大切なのではないか」と感じるようになりました。

また、このような人材が活躍できれば、企業の成長にもつながるはずです。

大切なのは、「年齢に関わらず、社員の知識や経験、スキル、人となり、本人の希望などと、企業が求める人材の要素とが、適合することではないか」と考えるに至りました。

タレントマネジメントを有効に活用するために

こうした、社員一人ひとりが持つ知識や経験、スキル、経験などの情報をデータ化し、採用や育成、適材適所への配置や評価などを戦略的に行う人事マネジメントの手法として、近年では「タレントマネジメント」という考え方が注目を集めています。社員のパフォーマンスを上げ、企業の成長につなげる手法です。

タレントマネジメントにおいては、社員の知識や経験、スキル、人となり、本人の希望などをていねいにヒアリングし、言語化、データ化する必要があります。しかし、難しさもあります。

そこで次回は、「タレントマネジメントを有効に機能させるために必要なこと」について考えていきます。

投稿者プロフィール

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

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