上司の言動がストレス。でも逃げられない。どうする?

しごとのみらいの竹内義晴です。

ビジネスパーソンのコーチングやカウンセリングのテーマとして、上司との「人間関係のストレス」があげられることが少なくありません。

上司との人間関㍘係は毎日のこと。精神的につらいですよね。

パワハラは、「受け取ったほうがパワハラだと感じれば、それはパワハラ」だと言います。暴力のように、明確に「これはパワハラだ」と分かる内容なら、社内外の関係各所に協力を仰ぐこともできるかもしれません。

でも、「要求が細かい」「言い方が威圧的」「ため息をつく」「嘆く」といった言動のように、実際には「パワハラとは言い切れない」状況も多いものです。

だからといって、上司の言動を変えるように訴えるのは容易ではありません。逆に、反感をかうおそれもあります。

その結果、「言うに言えない」「環境も変えられない」という状況の中で、二進も三進もいかない人は、少なくないのではないでしょうか。中には、心身の不調を感じている人も、いるかもしれません。

だからといって、転職するのも難しいし……。

このような状況を改善するためには、どうすればいいのでしょうか。

まずは「心の状態を整える」のが先決

こういった状況を改善するために、まずは「心の状態を整える」のが先決ではないかと、私は思っています。

「心の状態を整える」ために、もっとも最初にできることは「話すこと」です。内に抱えたストレスを言葉にして、「外に出す」のです。

たとえば、あなたのまわりに、職場の同僚や他の部署の上司など、相談できそうな人はまわりにいないでしょうか。職場にいなければ、「かつての同僚」や「親しい友人」などでもかまいません。話し相手は、本音を話しても安全な人がいいですね。第三者のほうが本音を話しやすい場合もあります。

しごとのみらいでは、ビジネスパーソンのコーチングカウンセリングを行っているのですが、受けた方から次のような声が聞こえています。

  • 会社では、本音を話す機会がなかったが、話すだけでも気持ちの整理ができた
  • 自分の状況を振りかえることができた。結構つらい状況だったことに気づけた
  • 言葉にすることで、改めて本心に気づいた

「ガマンの原因」を探る

心の状態が少し整ったら、次に、「ガマンの原因」を探ってみるといいのではないかと思っています。

ストレスを抱えているということは、何かしら「ガマンをしている」はずです。そのガマンが、ときに「しなくてもいいガマン」のことがあります。

先日、あるビジネスパーソンAさんとお話したときのことです。体を壊すぐらいストレスを抱えていて、本心では「会社を辞めたい」と思っていました。けれども、「なかなか辞めることができない」と言います。

そこで、私はこうたずねました。「本当は辞めたいと思っているのに、何がAさんを辞めさせないのですか。その環境にいることを選択させているのは何ですか?」と。

すると、次のような理由を答えてくれました。

  • 家族みんなが働き者で、幼いころから「仕事はちゃんとすべき」と刷り込まれてきた
  • 就職氷河期に社会人になったため、「これを逃すと……」という恐怖観念がある
  • 上司には逆らわないほうがいい
  • 会社を辞めることに対する世間体が気になる

もちろん、仕事をちゃんとすることも大切です。けれども、「すべき」のような思い込み・固定観念や、「世間体」のような本来それほど気にしなくてもいい価値観が強すぎると、しなくてもいいガマンをしてしまう場合があります。

しなくてもいいガマンは、無意識にしてしまうことも多いもの。強い思い込みや固定観念があることに気づくことで、今までとは異なる選択をすることができ、状況が改善することがあります。

つらい状況を変えるために

心の状態を整え、ガマンの原因を探った後は、どうすればいいのでしょうか。

正直なところ、解決策は状況によって違うと思いますし、「これが正解」というのは、ないのだろうと思います。逆に、もし、「これが正解」という方法があって、簡単に解決できるのなら、あなたの悩みは、すでに解決しているはずです。

そう簡単には、解決できない事情がある。だからこそ、悩んでいらっしゃるんだろうと思うのです。

それでも、あえて解決策があるのだとしたら、「自分ができる範囲で、今までと違うことをやる。やり続ける」ことなのではないかと思っています。

実は、私にも、以前の仕事のエンジニア時代に、上司との人間関係で強いストレスを感じていた時期があります。上司は、常に威圧的な言動をするわけではありませんでした。でも、とにかく仕事に厳しいタイプでした。成果物に対してはミスがないか細かくチェックされ、ミスがあったときは叱責されました。

それだけに、「わずかなミスもしてはいけない」と常に緊張感があり、委縮した状況の中で仕事をせざるを得ませんでした。その状況がストレスで、仕事に楽しさを感じることは一切なく、胃が痛くなったり、精神的に不安定になったりしました。

この状況をなんとかしたいと思いました。けれども、上司には言えません。また、結婚し、子どもができたばかりだったため、職場を去るわけにもいきません。

そこで、まず始めたのが、他の上司に相談することでした。直接の上司には、なかなか言えませんでしたが、幸いなことに、話を聞いてくれそうな上司Cさんがいました。話したからといって、すぐに状況が変わったわけではありませんでした。でも、気持ち的には、少し楽になりました。

ほかには、とにかく本を読みました。心が疲れていたので、自己啓発的な本もたくさん読みました。その結果、少しずつ気持ちが癒されていきました。また、職場環境に課題を感じていたため、組織論やチームビルディングに関する本もたくさん読みました。「働きやすい職場を作るためには、どうやらコミュニケーションを改善する必要があるらしい」と気づきました。

その後、「職場のコミュニケーションを改善したい」と思い、外部のセミナーに通いました。セミナーではコミュニケーション心理学を学びました。

セミナーでは参加者といろいろ話しました。社外の人たちといろんな話をすることで、視野が広がったり、考え方が柔軟になったり、「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」と癒され、鬱々していた気持ちも薄れていきました。

セミナーで学んだことは、自分のできる範囲から社内で実践してみようと思いました。だからといって、すべてがうまく行ったわけではありません。それでも、同僚との人間関係で変化を感じることができました。

自分やまわりの変化を感じ始めたころから、「上司を変えることはできないけれど、ひょっとしたら、自分のまわりからなら変えられるかも」と思い始め、「もっといいチームにしたい」「はたらきやすい職場にしたい」のように、ふと気づけば、理想をえがくようになっていました。そして、少しずつモチベーションが上がっていました。

それからも、大変なことはありました。けれども最終的には、「人を支援する仕事も、楽しいじゃないか」と思えるようになり、エンジニアから現在の仕事へと、キャリアを変えることになりました。

あなたの範囲でできる「小さなチャレンジ」を

私が取り組んだのは「自分ができる範囲で、今までと違うことをやる。やり続ける」ということでした。

これは、私の経験談で、すべての人に当てはまるとは思っていません。本を読んだからといって、セミナーに参加したからといって、あなたの問題は解決しないかもしれません。

けれども、つらい状況から脱出する、一つのケースではないかとは思っています。

でも、今でこそ「今までと違うことをやる。やり続ける」なんて前向きなことを書きましたが、つらい状況の真っただ中にいた時は、どちらかといえば、このような気持ちではなく、ただ「逃げたい一心」でした。「逃げたい。でも、逃げられない。だから、しかたなく……」というのが、正直な気持ちです。逃げられるなら、私も逃げたかった……。

ですから、逃げることで解決できるなら、よりよい状況になるなら、逃げることも解決策の一つですし、それもいいと思っています。

でも、もし、上司にも進言できず、逃げることもできなかったら……。その状況を変えるために、今までと違うことをするのは、小さな努力が必要かもしれません。でも、あなたが、はたらきやすい環境ではたらくために、そしてなにより、楽しくはたらくために、あなたができる小さなチャレンジを、はじめてみてほしいと思います。できる範囲からで構いません。

その結果が、どうなるかは分かりません。でも、チャレンジした気持ちと行動だけは、大きな財産として残るはずです。

小さなチャレンジするあなたを、私は応援したいと思っています。

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著者

竹内義晴
竹内義晴NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。新潟県妙高市出身。自動車会社勤務、プログラマーを経て、現在はNPO法人しごとのみらいを運営しながら、東京のIT企業サイボウズ株式会社でも働く複業家。「複業」「多拠点労働」「テレワーク」を実践している。専門は「コミュニケーション」と「チームワーク」。ITと人の心理に詳しいという異色の経歴を持つ。しごとのみらいでは「もっと『楽しく!』しごとをしよう」をテーマに、職場の人間関係やストレスを改善し、企業の生産性と労働者の幸福感を高めるための企業研修や講演、個人相談を行っている。サイボウズではチームワークあふれる会社を創るためのメソッド開発を行うほか、企業広報やブランディングに携わっている。趣味は仕事とドライブ。

しごとのみらいのコーチング

コーチングは、あなたの「理想」を叶えるためのプログラムです。本来持っている可能性に目を向け、「本当は何をしたいのか」「本当はどうありたいのか」を見出しながら、具体的な行動につながるよう支援します。